最終更新日:1998-7-28
[解説]
PCVAN(いまのbiglobe)の会員で、オリエントというSIGの常連だった頃、エドナについていろいろと書いてました。以下緑色の文章がそれ、1992年7月の文章です。写真は、壁を蹴りあげ反転、ジャンプし、すずめのちゅん助にアタックをかけるエドナの姿です(でもアタック失敗)。押入れに布団が見えて、天袋も何故か開いてます(SHARPのカラーテレビの段ボールが見える)。これで空間の位置関係は分るでしょう。ともかく、いい写真でしょう、自慢の一枚(PhotoShop合成ではありません)。
しかし、この写真を公開するのはずいぶんためらわれますよ、僕としちゃあ。それなりにこぎれいに住んでた積りなんですが、エドナがつねにフスマを駆け上り、もうズタズタなんですから。ほとんどオバケ屋敷。かなり恥ずかしい。
文中で、「解題を書かないと」云々と言って、ぼくは忙しがっていますが、ちょうど叢書江戸文庫『近世奇談集成[1]』の担当『老媼茶話』の解題を書いてたのですね。
[本文]
とうとう、我がエドチンも、すずめを捕えてきました。最初、蛾にしちゃ、でかいな、とか思ってて、家の中をとんだりはねたりして、その後、羽毛がおちてくるので、こりゃ、解題終わったらちゃんと掃除せんとなあ、とか思って、よくみると、これがちゅんちゅんすずめなのだ。
私はそれで、何をしたか。勿論、記念撮影です(だはは)。
[こちらに決定的部分の拡大図]
しかし、残酷なのものである。猫好きで、私は猫の生まれかわりと嘯く輩は、人間的に信用出来ないと、真面目に思った。しかし、猫一般がそうなのか、単にエドナがそうなのか、一旦見失ってしまって、弱ったすずめが動かなくなると、もうだめ。疲れて、ごろん。猫って、指差しても、わかんないもんなあ。
まだ生きてるかどうか確かめにいってみて、棒でつついたら、うう、鼠なんかも怖いがすずめもこうしてみると、結構怖い。今日は朝方、冷蔵庫で鼠が死んでる夢みたな。ゴキブリや蛇は平気だが、鼠は怖い。
棒でつつくと、あ、動いた、ちょんちょんちょん。そのまま、本棚の床下の隙間ににげこんでしまった。ぎええ。出てこない。こんな所で弱って死なれたら、一大事だ。隣の家の中が臭いので鼠の死骸でもあるのかなと思ったら、実はバラバラ殺人の死体だった、とかいう話ありますよね。エドナが壊した襖の枠の長い棒があるからそれでつついて、スタンド持ってきて、照明もつけて、十分かかってやっと出た。おお、すずめの勇姿。見事に一メートルもはばたいた。ジャンプするエドナの敏捷さも素晴らしい(あゝ、なんて残酷な私)。
うむここまで頑張っているのだから、そうだ、名前をつけてあげよう。ちゅん助がよいな。さて、ちゅん助は、窓際の本棚の裏に隠れた。うむ、ここも鬼門だ。正確に表現すると、窓があり、床までのカーテンがあり、そして1.2メートル位の低い本棚があるのだ。ちゅん助は、窓とカーテンの間に入った。僕は確かに目撃した。僕は、おもった。ははん、外から窓あけて(内からは、本棚が邪魔であかない)ちゅん助を逃がしてしまおう、おあそびはおしまいだ、いいなエドナ。だって僕は解題書かなきゃいけないんだもん。服を着替えて(普段なんちゅう恰好してるの、わたし)、表に出て窓をあけた。ちゅん助は、いない。うむ。家の中に戻ると、エドナは窓の方を見て、ぼんやりしている。あれえ、逃げたのかしら。しかし確証は無い。人間一般が馬鹿なのか、単に僕が馬鹿なのか、見失ってしまった。本棚を少しずらしてみた。が、大変なので、途中でやめた。さっきの本棚と違って、こちらは、床との隙間が無いタイプ。逃げおおせたのか。それとも、どっかの隙間に紛れこんだのか。本棚のうしろとは、卑怯な。文字通り、迷宮入りじゃないか。
僕は諦めて、ちとあたりを掃除機かけて、気分を紛らわした。どんとこい、ちゅん助よ。いつでも腐ってちょうだいよ。僕は根性の座った人間だから、そうなった時に、またあらためて行動を起こすよ。心の中で、そう呼び掛けながら、エドナの無邪気な残酷さに、上達したね、得意だろう、とは言ってはあげず、ひとこと、ばか。