バクロ地獄 |
女性マンガ家は、著者紹介のコーナーで、何歳から年齢を書かなくなるのか。しかし、誕生年は書かないのに、誕生月日は必ず書くのは、お誕生プレゼントが欲しいからかな。いやーそうではなく、読者に幻想を与えてくれる、夢を売る商売だからでしょう。
というわけで、
[著者近影](室内で、豹に噛付かれそうになりながら、チャトラの猫ちゃんを抱いてる写真がある)
[鑑定☆半魚] うーん。なめとんのか、という感じですね。でも、結構本気だと思う。本人執筆だね、これは。お写真は、可愛らしく写っているが、間違えても和服を着て写ったりするセンスではないから安心。
[プロフィール]12月31日東京生まれ/山羊座のA型
[好きな言葉]正義
[嫌いなもの]恋とか
[将来の夢]ムツゴロウさんになること
児嶋都--こじまみやこ
[鑑定☆半魚] うーん。これはほんとにナメてますね。本人執筆ではないね、これ。
12月31日生まれ。麻雀誌・4コマ誌・少年誌を経て、ホラー誌にハマり、各誌にて執筆中。
なお、本書巻末には山咲トオルさんの、「推せん漫画&解説」全2頁があります。解説は「『少女』の一歩先を行くクオリティーの高さ」と題され、 「デッサンのしっかりした人物キャラクターを含む絵のクオリティーの高さは、近年の女性ホラー作家の中ではNo.1と呼んでもいい!!」という評語の出典が、本解説。また、子供だまし・オセンチモノ的ないわゆる少女モノではなく、少女より一歩進んだ段階の作品である、と分析的。山咲さんは文章も達者ですね。なるほど、と思わされました。推せん漫画には、児嶋先生の似顔絵もあります。これはスキャンして紹介してもよいでしょう。 (C)山咲トオル 1998 |
『ザ・ホラー……』は全3巻で9人ほどの執筆陣によるホラーのオムニバム本。うち、2巻「怨」、と3巻「妖」に児嶋作品が有る。
[鑑定☆半魚] ここまでは、「怨」「妖」ともに共通。
[プロフィール]12月31生まれ やぎ座 A型 東京出身。
代表作・単行本「怪奇の館(1)」「おとな地獄」(リイド社刊)
「純生キッド」(エニックス刊)発売中。
ホラー漫画で描きたい事・怖い漫画を描いてみたい。
性格・占いは「ヒトラー」と出た。
趣味・動物と生活する事(おもに猫)・読書。
しっかし、「人間。人間の悲しさやこころ」(空路)、「人間とは怪奇な存在であることを追求したい」(日野日出志)、「あの世とこの世のこと日常の異次元のすべての不思議なこと」(夢間夢路)、「世の中には不思議なことなど何もないんだよ、っていうような話」(服部あゆみ)、などとみなさん結構真面目に書いている中、一人「ハムスターの飼い方」などと神田森莉がふざけているが、児嶋先生の
続いて、「怨み」「妖し」という言葉についての全員がエッセイを書いている。以下、児嶋先生のぶん。
●----「怨み」について
「怨み」と聞けば「うらめしや」だ。その昔、まだ指紋もDNA鑑定も無かった頃に、悪代官に落しいれられ、冤罪で磔獄門(はりつけごくもん)の刑にされた人なんて、さぞかし「うらめしや」だったろうと思う。でもこれは怖いというより、かわいそう、だ。
何と言っても恐ろしいのは「逆怨み」。これはもう、する、されるを問わなければ、経験した事の無い人はあまりいないと思う。昔、スピルバーグの「激突」という映画があったがコワかった。国道で何げなくトラックを追い抜いたら、その運転手が(おそらく追い抜かれた事に)ブチ切れて、延々主人公の自家用車を追跡し、追突しようとする話だ。しかも大型トラックだぞ。以来、子ども心にも道を歩いていて人を追い抜く時「怨まないでね〜」と思うクセがついてしまったモノです。
さして意識せずに言った言葉や、した事が相手の感情にはガッシリ食い込んでいる。「逆怨み君」は、毎夜それを反芻しては復讐の機会を狙っているのだ!!
「逆怨み君」には筋道なんて関係ない。自分の感情を傷つける奴には手段を選ばず倍返しだ。躊躇する理由なんて無い。世の中だって大声で言ってる。大切なのは感情だ。人殺しをしたって、かわいそうと言ってもらえる。感情第一主義の世界は逆怨み君の天国だ。ある時は親しい隣人。ある時はストーカー。ある時は世間を呪う大量殺人犯。そしてある時は鏡の中の私なのです…で、B級漫画の出来上がり。
[鑑定☆半魚] おいおい、自分でB級って言わないで(笑)。それは兎も角、恐怖に忠実な楳図継承者がここに存在します。世に楳図ファンのクリエイターは多いが、実践面・理論面できちんと分かっている継承者は案外少ない。
●----「妖し」について
自分はオバケというものを全然見た事が無いのです。もちろん水木大先生さんのように妖怪とかも、無い。ですがひと頃、友人にはそのテのものをよく見る人達が沢山いたのでした。それがホントかウソかは別にして、私にとって”面白いお話”である事に変わりは無いので、友人達にいつも怖い話をおねだりするのでした。いっしょに道を歩いてたりすると「今、いたね」とか言われるので、あわててその場所に戻って「どのなのら〜〜ッ!!」と、まことちゃん風に探してみても、私にはれんれん見えないのらもんね〜。シブ〜。
そんな私はなかなかの引っ越し好きなので、新しい小屋に移るたびに「この部屋にオバケは出るのらか〜?教えてくでー!ズズーッ!!」と鼻水をススリますと、ある部屋で友人がポツリと言いました。「妖怪が…いるね……。」ギョエーッ!!「でも…悪い妖怪じゃない…座敷童子のようなものかな…」ガーン!! 妖怪は本当にいるのら! 猫目小僧に会いたいのじゃ! 会わせろ〜ッ!! 根掘り葉掘り聞いみたところ、なんとそいつは以前”からかさオバケ”を見た事があるという。漫画とかに描かれてるのと全く同じ、傘から一本足に大きな目がついているのだそうじゃ。そんなの見たら、おしっこちびっちゃうもも〜ん!!
しかし月日は過ぎて…20歳(ハタチ)を越えると、ほとんどの友が「もう見なくなっちゃった」とか言いさらすのじゃ! 不思議ナリ。十代の謎なのら!!
[鑑定☆半魚] 夢があって、楽しい文章ですね。でも、最後の「不思議ナリ。」って、そりゃコロ助ですよ。
『純生キッド』には、表紙カバー袖に、児嶋先生の写真があります。
巻末のおまけマンガに、自画像があります。左が擬似の姿、右が、担当に怒られて戻った真実の姿。という、古典的諧謔パターン。そのほか、2DKの仕事部屋の見取り図付き。御愛猫クロとワーニャも出てます。
高橋明彦