草の花.文学I.半魚文庫

文学I

301教室……2025

福永武彦『草の花』を読む

*内容は更新されています。授業開始前にリロード(↻再読み込み)してください。

  • 2025-04-14 :第1回 (1)詩人のサナトリウム
  • 2025-04-21 :第2回 (2)肺葉摘出と二冊のノオト
  • 2025-05-07 :第3回 第一の手帳(1)内海ー伊豆H村
  • 2025-05-12 :第4回 第一の手帳(2)フィジックな要素
  • 2025-05-19 :第5回 第一の手帳(3)オリオンの滴り
  • 2025-05-26 :第6回 第一の手帳(4)舟の月明、岬の瞳
  • 2025-06-02 :第7回 第二の手帳(1)春のショパン
  • 2025-06-09 :第8回 第二の手帳(2)孤独な信仰
  • 2025-06-16 :第9回 第二の手帳(3)戦争と草稿
  • 2025-06-23 :第10回 第二の手帳(4)火山ー信州O村
  • 2025-07-02 :第11回 第二の手帳(5)召集令状
  • 2025-07-07 :第12回 (1)私と汐見茂思
  • 2025-07-14 :第13回 (2)或る永遠なもの
  • 2025-07-29 :第14回 関連作品に触れて
  • 2025-07-** :第15回 二〇世紀文学について

  • 第1回 (1)詩人のサナトリウム
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    1. * 金沢美大へ、入学おめでとう \(^お^)/ サクラサク

      しかし分断の時代 ↭(階級、人種、性差。=文化的、経済的、政治的)である。貧困、戦争や虐殺

      「芸術」の意味。限界?無力感?J・P・サルトル「飢えた子どもの前で小説は無力か?」1964年頃

      ‖し膳歃僉癖質性)/言語芸術における物質性(?)

      芸術ART(artificial人為)と自然(環境問題)

      →新たな二つの限界。どちらも、物質の問題としてある。物質関係としての経済。

    2. 言語芸術(小説=文学)

      近代小説を一作品、丹念に読んでみる。福永武彦『草の花』1954年 シラバスサイト

      ちな去年まで福永武彦『忘却の河』1964年を読んできましたサイト

    3. テキスト

      かゆう堂でも売っています。590円。前置きは不要、早速読んでみましょう。全4章(シラバス再掲)

      1回 (1)詩人のサナトリウム
      2回 (2)肺葉摘出と二冊のノオト
      3回 第一の手帳(1)内海ー伊豆H村
      4回 第一の手帳(2)フィジックな要素
      5回 第一の手帳(3)オリオンの滴り
      6回 第一の手帳(4)舟の月明、岬の瞳
      7回 第二の手帳(1)春のショパン
      8回 第二の手帳(2)孤独な信仰
      9回 第二の手帳(3)戦争と草稿
      10回 第二の手帳(4)火山ー信州O村
      11回 第二の手帳(5)召集令状
      12回 (1)私と汐見茂思
      13回 (2)或る永遠なもの
      14回 関連作品に触れて
      15回 二〇世紀文学について

    じっくり読みましょう。でも、ある程度の速度で、飛ばしながらでも大丈夫です。レポートも書いてもらいますから、最後(八月ころ)には何度も読み返すはずです。面白い作品です。ダカラ、ダイジェストやあらすじのみ、早送り再生はオススメしません。(人生早送り?)

    ゆっくり読むほうが、難しいのです。技術(や慣れ、習熟)が必要です。

    2025-04-14 (Mon) 旧新版13頁2行目まで読了。 百日紅、霊安室。対比される生と死のモチーフ。死の中の生(冬の百日紅)、生活に隣合せの死(霊安室) 枝枝、木木、部屋部屋、寒々、黙々まで繰り返し言葉が気になってしまう。

    グーグルクラスルームをつかいます(クラスコード tun3k7t7)。出席代わりに、毎回感想を書いて提出してください。授業メモを、最後のレポート作成に役立てる。

  • 第 2回 (2)肺葉摘出と二冊のノオト
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    1. ストーリー(三つの要素)

      (承前)百日紅と霊安室/生と死をめぐる、対比

      汐見茂思を語る。「私は自分について語るためにこの稿を起こしたのではない」。「精神の剛毅」。巧みに構造化された構成。

      サナトリウムでの前提。生活、治療、心情。超然たる汐見。エピソード、言動。評価。

      サナトリウムでの進行。肺葉摘出術を希望する、10時間以上におよぶ手術、術中死。

      サナトリウムでの日常 。小さなエピソードからなる、変わり映えのしない平凡で退屈な、死に直結した日常。

      エピソードから出来事へ「小説のようなもの」。運命とは、未来が定まっているという意味ではなく、人生に重要な意味を与える偶然である(九鬼周造による定義)。「運命が定めた偶然のほうへ。あるいは彼女の死のほうへ」『海市』の最後のことば。(運命と偶然、逆だったかなあ?)

    2. 進行:(構成)大段落

      (1)百日紅と霊安室

      (2)汐見茂思1大部屋の仲間として

      (3)汐見茂思2出会い、孤独を抱えて

      (4)汐見茂思3ノオトに書き付けている、良ちゃんとのやりとり、肺葉摘出を希望している

      (5)汐見茂思4冬が過ぎ、年末年始に汐見のBサナでの噂を聞く、肺葉摘出が二月に決まる

      (6)汐見茂思5手術の前日 ノオトの話

      (7)汐見茂思6手術の当日(朝)セラフィックな夢、記憶

      (8)汐見茂思7手術の当日(昼から)順調に進むかに見えたが、術中死。

      (9)汐見茂思8手術の当日(深夜)大部屋に帰って汐見の死を告げる。

      (10)汐見茂思9手術の翌日 快晴、ノオトを読みふける

      小さな可分割なピース(部分、断片)によって全体(「冬」章)が出来ている。20世紀小説の特徴:断片で描く(可分割な全体)。意識を描く(心理でなく)。方法化された時間(出来事でなく)。