booklist.児嶋都:地獄の乙女.半魚文庫
児嶋 都

稀覯地獄



余談。私と、児嶋作品の出会い。

たしか、つらーく、気のおもーい用事で、京都に行こうとしてた時だったと思う。駅でふと、今日はなんにも本を持ってない事に気付いて、キヨスクをながめた。キヨスクってのは、ろくな本がないのが相場だが、なんか無いと電車の中で間が持たないと思って、10分以上物色して随分迷ったあげく「まあ、こんなもんだろう」と思って取り上げたのが「おとな地獄」だった。児嶋先生のことも知らなかった。

一読して、「いやーなマンガ家を知っちゃったなあ」と思いましたよ(笑)。あと味が実に悪い。ストーリーは、実に練ってあるにも関わらず、そして絵も悪くないのだが、なんかどことなくナゲヤリなのである。単純に「救いようが無いストーリー」とかではない。あえて言葉をさがせば、

なげやり : リキんでないくせにゲロゲロな、

というべきか。

それに「地獄」というのがテーマになってるのも、案外新鮮でよかった。最近の諸作品は、本格ホラーでないこともあって、地獄モノはなくなりつつあるようですが。

そんでもって、随所に楳図かずおのパロディ的な影響が見て取れる。「あー、この人、楳図が好きなんだなあ」と思った。

尤も、絵柄は楳図に似てる、とはあんまり思いませんでした。いまでもそれは、実はあんまり思わない。特に『おとな地獄』は、ころころ絵柄が変っている。楳図よりは、美しい描線は初期のひさうちみちお以来だね、と思ったくらい(「少年アリス」など)。

で、本題。楳図については、モチーフのパロディもあるが、それはさて置いて、

見せ方が『闇のアルバム』

なのである。

ただ、ついでにいうと、楳図は基本的にテンションが高いが、児嶋はどっちかというと低いと思う。零度のピクチュール(笑)。たとえ、ページをめくったら、目玉びょろーん、脳味噌ぐちゃーん、でも。

「ほんとに楳図が好きな人って、あんまりいないよなあ」と、つねづね思ってた独り善がりな僕は(笑い)、しかしここに作者の楳図への敬愛の情を見ました。そしてその後、がっちり書込まれているにも関わらず、このナゲヤリな作家が、実に気になったのでした。その後、本屋さんで「児嶋都」の名前を探すように心掛けていたが、なかなか逢えなくて、悲しい思いをしてました。

因みに言えば、キヨスクでは日野日出志や犬木加奈子も並んでたはずです。それらはパスしました。はっはっは、おれってセンス良いぃ。


追記(2000-03-17)

テンション低い、と書きましたが、ちょっと言葉が違うなあ。最近(いや、さっき)思うには、にじみ出るおおらかさがあるのだなあ。これは、肉子ちゃんを見てるから思うのかなあ。


[次・モウラ地獄へ]
[ホームページ]