『楳図かずお初期作品集』中野書店 1982-7-15
左は全体の写真。右は附録別冊。
中野書店刊『楳図かずお初期作品集』は、同書店による復刻シリーズの第六弾。限定500部刊行。B6判、上製。帯付き箱入り。覆刻複製本四冊(「森の兄妹」、「別世界」、「底のない町」、「幽霊を呼ぶ少女」)、および解説の附録冊子「別冊 楳図かずお初期作品集」から成る。定価9800円。「昭和57年7月15日発売」(刊記)。複製本四冊は、冒頭カラー頁をモノクロにしてある他は原本そのまま。
別冊は、扉に楳図の自筆サイン。限定500部のうちの通し番号でナンバリング・スタンプがされている。内容は、インタビュー(楳図かずお、水谷たけ子、西岡務、佐川俊彦、ささやななえ、青池保子、いがらしゆみこ、竹宮恵子、山岸涼子)、のすたるじあぎゃらりー(改漫クラブ時代の作品集)、楳図かずお作品リスト(安井ひさし作成)、など。
これらのほか、愛読者ハガキ付きが付いて完全品。この他に、予約購買者にはポスターが付いた。
限定500部のうち、実際に予約講読されたのは半分以下くらいらしく、後半の番号のものはしばらく売れ残っていたようで、そのため美本も多い。また、500部以外に、たぶん少数だろうが、ナンバリングがされていない本も存在している。検印外の密売本か?(笑)。もちろんそのほうがレアなので、コレクター心がそそわれますね。あとまあ、ポスターがレアでしょう。
中野書店は、東京・神田の稀少本専門の古書店。漫画部を持ち、マンガにプレミアをつけた最初の古書店と言われてます。
『森の兄妹』
『別世界』
『底のない町』
『幽霊を呼ぶ少女』
予約講読者用のポスター。(51cm×36cm、B3より小さくA3より大きい)。小学館『ウメカニズム』P17にも見える。
『虹-RAINBOW-』金園社(金竜出版社)
キャッチコピーは「スマートで、たのしい、日本一の少女誌」。たしかに今見ても恥ずかしくないスマートさです。唐沢俊一氏なんかは貸本マンガのブッ飛びさ加減ばかり喧伝しているが、こういうクオリティも持っていたことは注目してよいでしょう。表紙と扉は谷悠紀子。巻頭のカラーページも谷悠紀子が使うことが多くて、メイン作家は谷かもしれない。
『虹』に関しては、3軒茶屋2階のマンガ屋『VMPC』Vol.1が一番詳しいのではないかと思う。1〜38集までのモノクロ書影と所収話を記しています。
『虹』25号: A5 全180頁。終頁に刊記、「少女漫画珠玉集 虹 No.25 \150/写植…家村写植社/印刷…文園堂印刷所/発行…金竜出版社/発売所 東京都台東区西町66 マツキ書店/乱丁落丁はお取替します書店になき場合は直接御申込下さい」。本号執筆者は、谷悠紀子、楳図かずお、花村えい子、木内千鶴子、横内ひろみ。楳図は、本編マンガの他、「チイ子さん」1点、「少女まんざい」、カット(雷様の絵2点)を書く。
この号には、「編集者」のクレジットがないし、キャッチコピーも「少女漫画珠玉集」などとつまらないもの。次26号から長岡比呂志が金園社に入社、編集をしたのではないか、と大胆に想像しておく。と、この想像は間違いでした。『虹』10号はすでに長岡比呂志が関わっています。むしろ、25号で大阪を撤退し、26号から東京に出たのかな。
『虹』26号: A5 全164頁。終頁に刊記、「スマートでたのしい日本一の少女誌虹 No.26 \160/写植…家村写植社/印刷…文園堂印刷/編集…長岡比呂志/発行…金竜出版社/乱丁、落丁の時はお取替いたします/マツキ書店扱」。本号執筆者は、谷悠紀子、楳図かずお、花村えい子、山谷ルミ子、新城さちこ。楳図は、本編マンガの他、「チイ子さん」1点、カット(雷様の絵2点)を書く。
『虹』36号: A5 全148頁。終頁に刊記、「スマートでたのしい日本一の少女誌虹 No.36 \170/□印刷…文園堂印刷/□写植…長岡写植社/□編集…長岡比呂志/発行…K.K.金園社/○東京都台東区西町66/乱丁・落丁はお取換いたします。」。本号執筆者は、谷悠紀子、木内千鶴子、山谷ルミ子、さがみゆき。楳図は、作品は無く、読物「虹USO新聞」、「チイ子さん」2点、カット(雷様の絵2点、運動会の絵1点)を書く。
『虹』39号: A5 全144頁。終頁に刊記、「スマートでたのしい日本一の少女誌虹 No.39 \170/編集:長岡比呂志/印刷:文園堂印刷所//発行:K.K.金園社/東京都台東区西町66/乱丁・落丁の時はお取替いたします」。本号執筆者は、楳図かずお、新城さちこ、矢代まさこ、さが・みゆき。楳図は、作品の他、読物「童謡マンガ名場面(1)証城寺の狸囃」(狸の絵)、「チイ子さん」1点、カット(雷様の絵2点、その他2点)を書く。虹文庫の予告あり、No.33の山谷るみ子『街角花咲く青春』(138頁全面)、No.未定の楳図『ロマンスの薬あげます』(139頁全面)。「『赤い蝶の少女』につづく虹文庫第二弾!!」とある。ただし、この『ロマンス……』、ほんとに出たのか疑う人もいる。
『赤い蝶の少女』A5 全144頁(1〜8頁カラー)1962 金園社
1頁扉は、主人公"ほのお"の肖像のカットが、和綴じ本(五目綴!!)仕立ての意匠で配置されている。文言に「MYSTERY and HUMOR /楳図かずお・少女ミステリイ/虹文庫 No.24☆金園社☆編集・長岡比呂志」とあり、
最終144頁の上段に後書きと広告、下段に刊記、「《あとがき》/赤い蝶の少女……いかがでしたか。ずい分ひさしぶりの楳図先生の長編なので、ファンのみなさんには、面白く読んでいただいた事と思います。ひきつづいて楳図先生が、長編執筆中です。次回作に御期待下さい。/虹文庫 次巻予告!! 木内千鶴子・作 かなしみの降る丘…に、ごきたい下さい!!/虹・すみれ…は少女漫画の女王誌」(あとがき、広告)、「最新長編少女漫画/虹文庫 No.24 赤い蝶の少女 \170/作・楳図かずお/*乱丁本はお取換いたします ・写植…長岡写植社・/・印刷…文園堂印刷所・/・発行…K.K金園社・」(刊記)。
」
左は表紙。右は本文4〜5頁、文言は「赤い蝶の少女について/赤い蝶…とは、火のことをたとえてみました。そら、まっ赤なほのおがチラチラゆらめくのを、じっとごらんなさい。まるで赤い蝶と形容するのが、ピッタリではありませんか。どうかそんなつもりで、この少々かわった物語を、ゆっくりごらんくださいね。それから、火には必ず用心してくださいよ………(念のため)」。
『恐怖の地震男』A5 全128頁(1〜8頁カラー)1965 東京トップ社
最終128頁上欄に刊記、「■新作長編書下し「恐怖の地震男」定価200円 ●著者 楳図かずお ■編集人 熊藤男 ■発行人 島村宏 ■発行所 東京都文京区小石川町 5-19-25「東京トップ社」(941)6913」。127頁ミミに「■この本のほしい方は送料共240円送って下さい、お礼に原画を差し上げます(発送部)」とある。『恐怖の地震男』の原画は残され、サン出版社本が出てるから、別の原画をあげたのでしょうね。
左は表紙と背表紙。右は本文4〜5頁。
『恐怖の地震男』新書判 1981 サン出版
『人魚物語』A5 全124頁(5〜124頁/5〜12頁カラー) 佐藤プロ 花文庫No.10
刊記、「花文庫第10/人魚物語/著者 楳図かずお/発行人 記本隆司/発行所 東京都豊島区高田一丁目20の7/有限会社佐藤プロダクション(中谷ビル内)/¥(220) TEL(981)6075」(最終124頁下段)。同頁に、花文庫No.11 花村えい子『安寿と厨子王』の近刊予告あり。
所収作品
左は表紙と背表紙。右は見開き扉で6〜7頁。