スポーツ気分の構造 |
作成日:2002-06-20
「どうせみんな反対・中止といってたって、始まったら見るんだろう」とか舐められていますから、私はしっかり宣言したいと思います。サッカーも、なでしこも、だいぶ気になりますが、今回に関しては一切見ません。
昨年末くらいまで、私もオリンピックという組織がこんなに利権にまみれたヒドイものだとは分かっていませんでした。不明を恥じます。
初戦のコロンビア戦に2-1で勝ったために西野監督は名将ということになってしまったが、コロンビアが意外なほどに調子悪く、かつPK献上、退場者という極めて不利な状態だったから勝てただけのことで、ゲーム内容は極めて貧相なものだった。しかし、二戦目のセネガル戦での日本のゲーム内容はとても素晴らしかった。柴崎の評価が高いらしいが、私は長谷部のパス供給能力に驚嘆した。遠藤と青山を足したような選手だと思った。大きな黒人選手の間を強く速い球で縦パスを何本となく通していた。スペインとドイツを足したような組み立てだと思った。(今回のドイツは、それが出来てないけれど)。二戦目で、私は考えを改め、西野と日本代表を応援することにした。
三戦目のポーランド戦は、二戦目の戦い方が出来れば、楽勝だと思われた。しかし、昨日、私は落胆させられたのである。一、二戦の疲れがあったにせよ、主力を温存できるほど補欠メンバーは充実しているのだろうか?6人も変えるのだからしているのだろう、と思って見ていたが、二戦目とは全く別のチームであった。この三戦で最も強かった相手は間違い無くセネガルだろう。そんなセネガルに対して日本チームは、互角以上の闘いが出来た。吉田、昌子のCB、長友、酒井宏樹のSB、長谷部、柴崎のWボランチ、乾、香川、原口のOMF、大迫のワントップ。GKの川島は二戦とも酷評されていたが、ほかは非常によく機能した。私は特に長谷部を高く評価するが、彼はこれまで見たことない働きをしており、真面目以外に特に取り柄の無い選手だと思っていたが、第二戦に関してはほんとうに素晴らしかった。同じく、乾も素晴らしかった。乾ひとりが、ここ八年間の日本サッカーに欠けていたものを補ってくれる選手だと思う。ドリブルが出来て、ミドルシュートが打てる。じつは中島翔也もそういう選手だから、なぜ呼ばなかったのか、私が西野を信用しない理由の一つである。さて、乾は、初戦こそ機能しなかったが、二戦目ではWCで得点した日本人プレーヤーという栄誉に浴することとなった。おめでとう!
三戦目の6人入れ替えたチームは、明らかに能力も意志も劣っているように見えた。縦の速いパスを通す気が全く無く、ゆるいバックパスばっかりである。宇佐美なんか、泣きたくなるほどひどい。なんもしていない。そして、決定的なのは、最後の15分のやる気の無い球回しである。うちは攻めないからおたくも球取らないでね……、だとすればこれは八百長だ。日本の、フェアプレイの戦い方ではない。加えて、裏試合のセネガルが同点に追いついたらどうする気だったのだろう。こんな闘いをするチームは、決勝トーナメントに行く資格はない。
世界の貧困を背景にしたマリーシア(ずるがしこさ)に対して、日本はフェアプレイをアピールポイントにしているはずだ。なでしこジャパンの健気な闘い方もそうだったはずだ。フェアプレイとは、先進国の豊かさを背景に持つ弱者を抑圧する身勝手な論理に過ぎないのか、そうではなく、貧困や差別を含めて世界の不条理を敵として戦う倫理であるのか、それが問われているはずだ。だから、私は今、WCで日本が勝っても、全く嬉しくない。
2018-07-03 (Tue) 補記1:ポーランド戦の翌日、西野は選手等に不本意な試合をさせて申し訳なかったと謝ったと報道は伝えていた。あの球回しを、西野自身は本当に良いことだとは思っていないらしい。日本人の解説者等は一様に西野の選択(ばくち)は正しかったと誉めているが、それはTVの仕事が欲しくてJFAをかばっているからである。まさに安倍政権下の報道である。世界中が、球回しについて怒りあきれているはずだ。なお付け足しておくと、球回しによる時間稼ぎは、勝っている側がやる戦術である。負けていて球を回されている側は、必至で球を捕りにいくから、試合は成立する。今回のように、負けている側が球回しを始めたということは、試合放棄をしたということである。無気力相撲すなわち八百長である。西野が謝っているのだから、まあ良しとするか、とも思ったが、ベルギーに惜敗したという点で、やはり感心しないと思ったので、書き留めておく。
補記2:そのベルギー戦であるが、セネガル戦のような試合が出来るのであれば、僕はそもそも西野のことを嫌いではなかったし、スタッフにいる森保や手倉森もまた信頼しているから、良い試合ができるのであれば球回しについては忘れても良いと思っていたが、今日のベルギー戦を見て、やはりすこし考えが変わった。「ベルギー戦を見て」とは書いたが、実は、夜中の3時に起きられなくて、起きたら4時半で、TVを付けたところ、2−2であった。ぼろ負けするとおもっていたので、びっくりした。長谷部が鋭いパスを通していたのかどうかは、結局分からないままである。見ている内に、延長戦突入かという間際でカウンターから失点して試合が終わってしまう。もう少し見られるかと思っていたので、残念であった。そして、聞けば、2−0から追いつかれたのだという。その2点も、原口、乾の目の醒めるようなシュートである。2006年のドイツWCの直前に日本はドイツと練習試合をしていて、2−0でリードしたが、その後2失点して引き分ける、という試合をしている(このページでも記録している)。あのときのことを思い出す。日本は、こういう歴史を積み上げていかねばならない。2022年に向けて、このまま西野が監督をやれば良いと思う。
昨日、ハリルホジッチの去就に関する緊急記者会見の告知があると報道されて、「解任なら嬉しいが、しかし今の時期にそこまでやるかね。ああしかし、手倉森が後任であれば、実現可能か」と思っていた。ともかく、解任はなかなか思いきった選択であったと思う。よかったとも思う。後任は、西野朗だそうである。ちょっと時期が遅いのではないか。ガンバ大阪の全盛期を思えば、なぜか分からないが名古屋でうまく行かず、今、西野は技術委員長だとしても(若い田島に出世を越されている)、今かねえという気がした。ザッケローニの後に西野でよかったと思う。岡田の再々登板はもう可哀想だとして、西野朗、風間八宏、手倉森誠と、十分に戦える日本人監督はまだいる。
なでしこジャパンに、川澄が復帰しているという情報を、いま知る。小柳ルミ子が川澄を誉めているブログを読み、じつに説得的だと思う。ここ2、3年、まったく面白くなかったサッカーが、また面白くなってきた。
今日の新聞で、週刊誌の見出し広告に「ドーハの悲劇を再び」などと書いてあるのを見つけ、先日、お盆で帰郷した際に弟と口論になったことを思い出しました。何を兄弟げんかしたかというと、ハリルホジッチの評価をめぐってなのですが(笑)、弟は、カウンターサッカーは日本の選択肢として有効である、選手が自主的に考えるサッカーをハリルは目指している(そのために細かい決め事は少ない)、などというわけである。私は、ポゼッションサッカーの日本型完成を目指すべきで、使えない選択肢を増やしてもしょうがないし、また、自分で考えるためにも先に決め事は必要なのだ、などと言ったりしていたわけですが、話している内に興奮してきて、「日本は、WCに出られなきゃいいと思う」ととまで言ってしまったのである。言ってから、ほんとそうだなあ、と思いました。協会側はよく、「予選は難しい」などと言って、出られて当然と思っている国民側に予防線を張ってきたが、楽観視しているのは実は国民側ではなく、協会側なのだ。なでしこがWCに出られなかったのを思えば、こんな男子は、出られなくても良いと思う。
今年のJリーグは、久しぶりに前期後期にして、プロ野球で言うクライマックスシリーズのようなことをやっている。ほんとは、日本シリーズのように盛り上げたいのだろうが、2リーグ制ではないから、こうなっているのだろう。
11月末に、ガンバとレッズがやっていて、3位のガンバが前期優勝のレッズを突き放した。これも悲惨な試合だった。僕はどっちも好きなので、悲惨としか言いようがない。
昨日、ホームアンドウェイ方式の第一戦が、広島とガンバとで行われた。これも、悲惨な試合だった。僕はどっちも好きなので、やっぱり悲惨としか言いようがないが、ふつうはこれを壮絶な試合というのだろうな。
広島では、ひさしぶりに森崎を見られて、うれしかった。塩谷司は代表にも呼ばれているが、あまり印象がなかった。山森さんに顔が似ていますね(笑)。ガンバでは、久しぶりに遠藤が堪能できた。宇佐美、東口、藤春、丹羽、あとまだ一人か二人代表がいるが、なぜホジル・ハヂッチは遠藤を呼ばないのだろう。僕はこの監督を全然信用していない。
広島の青山はほんとに良いですね。なぜ彼も呼ばれないのだろう。去年のWC前の練習試合で、青山からのロングパスを大久保が決めたが、あれはほんとうにすごかった。
CSは、チャンピオンシップだったんですね(笑い)。
11月28日(土)◇14:00キックオフ・埼玉スタジアム(試合終了)
浦和 1 0-0 1-1 0-0 0-2 3 G大阪
[浦和]ズラタン(後半27分)、コーナーキックを頭で押し込む
[G阪]今野泰幸(後半2分)、前線からボールを奪い、DFをぬいてGKと一対一から
[G阪]藤春広輝(延後13分)、あわやOGのクリアーボールからクロス、ボレーシュート
[G阪]パトリック(延後16分)遠藤のロビングFKを抜け出したパトがきめた!
12月2日(水)◇19:30キックオフ・万博記念競技場(試合終了)
G大阪 2 0-0 / 2-3 3 広島
[G阪]長沢駿(後半15分)、森崎・千葉のバックパスを長沢に取られて。
[広島]ドウグラス(後半35分)、柏のクロスをヘッドで
[G阪]今野泰幸(後半36分)、
[広島]佐々木翔(後半46分)、
[広島]柏好文(後半51分)
女子ワールドカップ(カナダ)がとうとう始まった。2011年に優勝し、2012年の五輪で準優勝して以来、まったくいいところのない、なでしこ。
世代交代は、結局まったく進まなかった。最も期待された中島依子は選ばれなかった。
戦術も、パスワーク主体のポゼッション型から、ロングボールを使うようになったが、これも機能しているようには思えない。岩清水のロングフィードをトップ下やトップでキープできる選手がいない。4−4−2以外のフォーメーションも(宮間をトップ下に置く4−2−3−1や4−3−3は、結局実現しないまま)。
試合運びでいっても、ポゼッション型の2011年の時にくらべ、後半はずっと責めさせ(責められ)っぱなしである。相手を疲れさせているなら良いが、自分たちが疲れてこないのか。
選手の調子も全然あがっていない。期待された大儀見も、坂口を筆頭に、宮間、川澄あたりの心臓部分の調子が上がらない。彼女らがいてのなでしこなのだ。大儀見には得点王にさせてあげたい。宮間には世界が驚くFKをきめさせてあげたい。心から思う。
宇津木がひとり創造性あふれるプレーをしているが、一人だけではだめだろう。川村などにも期待したい。なお、スイス戦での山根はすばらしかった。
くじ運的には、一位通過した場合、決勝で強豪と当たらないので、それは良かった。
彼女らに、幸運が訪れてくれることを、心から期待している。
アジアカップはまさかの決勝トーナメント一回戦敗退(ベスト8、UAE 1-1、PK4-5)。にもかかわらず、帰国したアギーレは記者会見で強気の発言をしている。
八百長疑惑に端を発して、この監督には信頼をなくしたが、思えば、当初から疑問が多かった。ブラジルWC後に、代表をほぼ入れ替えたと思えば、結局、遠藤や長谷部を復活させた。その後は、 選手を完全に固定。アジアカップ対策かとも思ったが、ヨルダン戦からUAE戦までの間が中二日と分かっていて、ヨルダン戦に主力組を使う。選手層は、柴崎と武藤が加わっただけである(豊田はハーフナーや柿谷のようだ)。
この監督は、日本人の選手を、ぜんぜんチェックしていない。いい選手を選べていない。
システムにも問題がある。発展途上の4-3-3は、もう少し慣れた4-2-3-1との関連を付けないといけない。
JFAは、自己保身のために、アギーレを守っているようだ。
韓国やオーストラリアなど、これまで優位にあった東アジア勢の相対的な退潮が目立ってきた。これはこのまま、ワールドカップのアジア枠の削減に繋がるだろうし、繋がるべきだろう。そして、このままあと3年もこの人に任せたら、ほぼ無条件でワールドカップに行けてた日本の優位も、だいぶ危うくなるだろう。
一年以上更新していなかったという。もう、東京五輪もとっくのとうに決まっていたし。オモテナシってか。都知事ももう変わって、みたび変わっているという。
それはさておき、メンバー、決まりました。サプライズは大久保。僕は中村憲剛と駒野友一が外されたのがかわいそうで、かわいそうで。
弟から来たメールと、その返事。
>W杯メンバー、初の新潟県人である酒井高徳が選ばれたことは、まずまずだと思いました。
>まあ、高徳が試合に出るとしたら、長友の怪我という最悪の状況しか考えられないのですが…
>バックスに前回の中沢トゥーリオのような高さがないことが気になります。
>また、2006年に逆戻りしないことを祈ります。
2006年は最強メンバーと言われてましたからね。
ザッケローニはいい人だとは思いますが、3―4―3は結局成功しなかったし、こ
の四年間で一番盛り上がったのは最初のアジアカップだけだったような気もします。
本番でベスト16に行けたとしても、四年間の積み重ねというよりは、ラッキーだっ
たため(大久保がめちゃ調子が良い、とか)みたいなことだったら、なんか残念と
いうか。
……というような風評をけちらして、頑張ってほしですね。前回は守備的にして勝
ち上がったけど、今回は負けてもいいからガンガンいってほしいですね。3―4で
負ける、みたいな試合が出来れば最高だと思います。
四年間CBは安定しなかったし、どうせゼロ封はできないチームだと思う。もちろん、ベルギーの時みたいに4―3で勝っても良い。
[補記 2014-05-15 (Thr)]
中村憲剛のブログを見に行ったのだが、母の日以来、更新がないと思っていた。先程、改めて見て、自身の言葉が綴られていました。落選の悔しさと喪失感、しかし前向きなタフさがそこにはあった。ほんとうに素晴らしい選手だと思う。ACLは結局負けてしまったが。同僚の大久保も、頑張らなくてはならない。泣言はいってられない。こちらも身が引き締まる。
招致運動に、国民の支持率の低さが原因だとされていたが、先日の銀座のパレードの50万人の見物人など、ここに来て一気に五輪を肯定する空気が高まっている気がする。ロンドン五輪は、成熟した都市での開催の成功ということで、発展途上国の経済活性化の一助といったものとは違う目的で、大会が質的にも嫌味でなかった。
僕がなぜこれまで東京招致に否定的だったか考えて見るに、理由ははっきりしている。主導しているのが石原東京都知事だからだ。石原都知事は、差別主義者として世界的に知られた存在だそうだ。五輪は差別主義には徹底して戦う構えである。本日の北陸中日新聞によれば、むしろ、招致の最大の妨げとなっているのは、都知事の存在ではないかと書いてあった。個人的に、私がそう感じていたのである。
なでしこVS米国。1-2で負ける。残念。開始早々、米国が得点して、それ以降、あまり攻めなくなってくれて、逆になでしこが助かった感じがする。準決勝のフランス戦などのちょうど逆である。なでしこに(比較的)がんがん攻めさせてくれるが、前線でのためができず、ゴールを生まない。残念。米国も特別調子が良いわけではない。なでしこは十分に勝てた試合だと思う。
それでも、沢、宮間、坂口、鮫島、近賀あたりの調子が全然あがってこないまま。それでも、ここまでやれるのだからすごいとも思う。大儀見、大野、川澄は身体が非常に切れていた。フランス戦では岩清水、米国戦では熊谷が素晴らしかった。そして、福元!
このスタメンは良いとして、サブのメンバーで切り札がいなかったのが、今回のチームの弱点だったなと思われます。安藤は今回、調子が全く上がらない組。岩渕、丸山しかり。田中明日菜は悪くないけど、沢を下げる選択は、佐々木監督には無かったのだろう。それはそれで、正しい選択だと思う。特に、岩渕があそこ(後半38分、パスカットからソロと一対一)を決めていれば(笑)。
しかし、それにしても、大きな期待とプレッシャーのかかる中、よくぞここまで頑張ったと思う。試合直後、宮間が泣いている。去年のワールドカップとは、意味が違うのだ。僕は、今回の五輪は、決勝までいければ満点だと思っていた。メダルの色の違いはおまけである。
表彰式の彼女たちの可愛らしさと、洒落っ気を見よ。電車ごっこみたいに肩を繋ぎ、壇上では一人づつ順に礼をしてみせる。メダルをかけてもらって、TVカメラへポーズを決める。ブラッター会長にキスでもしてやればもっとよかったんじゃないか(笑)。彼女らは楽しそうだ。
川澄選手のブログに、米国戦前、次のようにあった。
たくさんの人たちに支えられてサッカーができる喜びを、
大好きなサッカーを大好きな仲間とできる喜びを、
今日ウェンブリーのピッチで、思いっきりプレーで表現します。
彼女らは、試合開始前の登場時にも声を掛け合って元気にしていて、笑っていた。それは、こういうことだったのだなとしみじみ思う。