半魚文庫--NTVアニメーション--家なき子

家なき子

そして、それに出会ったわたし


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作成日:2001-12-01

「家なき子」を大々的に扱ったページがあまり見当たらないので、幼稚っぽいヤツとか思われそうで、かなり恥ずかしいのですが、作りました。

本ページの画像は、DVD『家なき子 劇場版』(パイオニア・2001)のパンフレットからスキャンしたものです。



◆最初の放映のとき

◆再放送のとき

◆3度目の出合い

◆その後、現在ふと

◆スタッフ一覧、各回のあらすじ

◆リンク集、およびおことわり等


◆最初の放映のとき

 『家なき子』の最初の放映は 1978年10月だった。僕は中学2年生だったはずである。第一回の放映を偶然見た。その後、しばらくは見ていて非常に面白そうだと思ったが、部活動などで帰宅が遅かったためにほとんど見ることができなかった。東京での放映は日曜日の午後6時半からだったらしいが、新潟ではBSNというTBS系でウィークデイの5時とか5時半とかだったと思う。すこし週遅れとかの放映だったのかもしれない。

◆再放送のとき

 『家なき子』が再放送されたのは、1981年の初夏から晩夏に掛けてであった。月〜木曜の午後6時から毎日放送していた。6時には家に帰れたので、かつての欲求不満を果さんと、見始めた。すると、これがものすごく面白いのである。

 運命にもてあそばれて、可愛らしくも力強く生きようとするレミ。そして、師匠ビタリスは叫ぶ、「男はいつか一人で生きてゆかねばならんのじゃ!レミ!前へ進め!前へ進めじゃ!」。色彩もきれいで、もちろん、いまのアニメ顔などではない。監督の出崎統は『あしたのジョー』や『エースをねらえ』の人だから。ともかく、毎日楽しみに見ていて、毎日感動していた。音楽も素晴らしい。渡辺岳夫が作っている。

 僕はちょうど高校3年生で受験を控えていた。

受験生が毎日「テレビマンガ」を見ている

などというのは、親にも心証が悪いし、自分でも後ろめたく思わなくもない。そこで、国語の勉強ということで、毎回、放映分のあらすじをまとめることにした。勉強ということで、四〇〇字できっちりまとめるという制限を付けた。

 最初に書いた日は、1981年6月23日、第22話「名優ジョリクール」の回からだと思う。なんか、21回「新しい生命の誕生」だったような気もするが、手元に残っているのは「名優ジョリクール」からである。たぶん、さすがにこの回を見たときは、何か記録して置かねばならない、と思ったのであろう。

以下のデータで、「1981年梗概」とあるのは、この時17才の僕が、放映後その日のうちに書いた四〇〇字のそれである。

感動を抑えて書いてはいるが、盛沢山の回などはやむをえず八〇〇字になったものもある。

 それ以前、1話〜21話までの寸評は、四〇〇字まとめをする前に日記に書いておいたもの。日付は6月23日になっているので、たぶん四〇〇字まとめをすると決めた日に、それまでのタイトルを記し、記憶で寸評を記したのである。

 とはいえ、(いまでもそうだが)当時の国語力の無さを表わしてるつうか、稚拙なまとめである。だいたい、平仮名がおおすぎます(笑)。文章自体もあまりうまくないが、ともかく四〇〇字という制限によって、意味が通じないようなままで書いている部分もあるのです。以上、言い訳。しかし、その後もこのあらすじはたまーに何度か読み返したりしたのだが、いやあ、自分でも感動するんですよ、わはは。

 6月30日、第26話「さらばわが息子よ」でのビタリスが死ぬ場面など、小学生の頃『フランダースの犬』を読んだ時に感じた胸を締め付ける悲しさと運命の非情さに感じた心の動きが再現されたものだった。はたで見ていた祖母などは、「あわれだねー。あわれすぎて、見たくねーねー」などと言っていた。「こっげん、みるがんやめれ」などとも言われた。僕は怒っていた(笑い)。

 僕の好きなヴィトゲンシュタインには「私的言語の不可能性」というドクトリンがある。感覚に関わる言葉など、自分にしか分からない言葉というのはナンセンスである、という教義である。僕はその主張を正しく理解している(笑い)し、その意味と重要性もよーく分かっているのだが、しかし、この『フランダースの犬』と『家なき子』とで感じた感覚は、まさにヴィトゲンシュタインが批判するところの、カレンダーに附ける印の、あの気分なのですね〜。なお、悲しいことに、このとき以来、感じてない。

 高校の行事などがあり、その後「打ち上げ」と称して、長岡でクラスで喫茶店などに繰り出すことがあった。打ち上げは楽しいのだが、『家なき子』が見られなくなるのは非常に困る。もちろん、ビデオデッキなんてものは超高級家電だった時代で、うちもあるはずはない。そのころ既にクラスで僕は「『家なき子』が面白い!」と吹聴して、人にも勧めたりしていたのんきな子供だったが、打ち上げとぶつかったことが二度あり、最初の一度は見損ねたが、二度目ではクラスの連中に「ぜったい、テレビのある喫茶店にしてくれえ」などと言って、しっかり『家なき子』を見たものである。

 ともあれ、僕はこの段階で、本作『家なき子』が自分のベスト・ジ・アニメになったのである。これは、いまでも変らない。多感で、しかも将来が見えないこの時期に、こういう名作に出会えてほんとうによかったと思う。この少し前には『未来少年コナン』なんかも楽しく見ていたが、ともかく『家なき子』を超えるアニメはいまだに無いと思う。僕の中では、あと、すこしおちて『妖怪人間ベム』、その次が『タイガーマスク』である。ふるいやつだとおおもいでしょうが。

 なお、この頃は若く、記憶力も良く、「シャバノン村のレミ少年」「運命の子レミ」以下、「新たな旅立ち」まで

全51話のタイトルがすべて早口言葉のごとくに言えた。

レコード屋で、サウンド・トラックのLPも買った。再放送の終了日がお盆の8月13日で、8月15日に買っている。買った日の日記も転載しようかとおもったが、恥ずかしいことがいっぱい書いてあるので、ここには載せない。なお、スタッフ等のデータは、このLPに記されたものによる。

 『家なき子』の原作を探したのもたぶんこのころである。角川文庫で、古い訳のまま表紙だけ本アニメの絵になっているものを見つけたが、上下2巻本で、上巻しか見つからなかった。原作を読んで驚いたのだが、完全にアニメの脚本のほうが断然勝っているのである。ジョリクールなんて、原作では興行から帰ってきたら死んでしまっていたりした。マチヤもなんかいじけた少年で、レミに叱られているような。

原作を上回る映像作品

という点では、稀な作品であろう。

 原作本は、その後、大学院生になって古本などに詳しくなった時期に、古い全訳本を見つけ、だいたいの雰囲気が分かった。改造社の「世界大衆文学全集」というハードカバー文庫本の一冊で、『家なき兒』。刊記には「昭和三年二月十二日印刷/昭和三年二月十五日發行」とある。訳者は菊池幽芳。無学な私には、ちょうど未確認人物みたいな名前だが、それなりに有名な人らしい。それはさておき、翻訳の内容は、レミは民(たみ)、ビタリスは美登里(みどり)老人、マチヤが町也なんて具合いに、翻訳でなく翻案みたいになっている。しかし、たぶんよく出来ているのである。ビタリスはVital(生命)が語源なんだろう、すこし語呂も近く、そして生命=緑なのである。ミリガン夫人は千島夫人である。mille(千)のガン(岩=島)ってことかな(わらい)。

 この1981年次の放送が終った時には、まさしく虚脱状態だった。もういつ会えるかわからない『家なき子』。もしかしたら、二度と会えないかもしれない。それは人生そのものである。

◆3度目の出合い

 3回目に『家なき子』に会ったのは、もう院生だった。1989年の秋ころである。僕は25才だった。二度と会えないと思っていた人に、もう一度会えたという感じでした。

 東京にはテレビ東京と言う素晴らしい放送局があって、ここでは朝7時みたいな時間に、制作放送局をクロスオーバーして名作の再放送をしているのである。『ウルトラセブン』や『妖怪人間ベム』も、この再放送で見れた。早朝だし、興味ない作品のこともあったので、すぐに気づかなかったのだが、ある日『家なき子』をやっていたのである。当時ビデオデッキを持っていて、

第11話「ビタリスの裁判」からすべて録画した。

 すべて録画したとばかり思っていたが、僕がもっとも愛する回のうちのひとつ、第39話「急げ!パリへ」はなぜか録画し忘れている。これは、途中、リーズに会って、川でレミ、マチヤ、リーズとで石投げをするのである。

 しかしまあ、今でも、このビデオは私の宝物である。画面はけっこう荒れてるが。「7:16」などと時刻のテロップが入ってるのもご愛敬。

◆その後、現在ふと

 昨年2000年、冬に「20世紀の終りに際して、なにか過去の自分を振り返っておこう」と思い、『家なき子』を見ることにした。ビデオに撮ったが、その後、ビデオデッキがない生活も続き、またあんまり見たくなかった。過去を振り返ってる余裕なんてなかったのである(カッコイイ!……か?笑い)。たぶん、一回も見たことなかったんじゃないかな。で、すべて見直した。学校のゼミ室にビデオがあり、放課後、数話づつそこで見たのである。もちろん一人で。泣いたらこまるので(笑い)。

 今年のお盆に帰省した際に、実家においてあるサウンドトラックLPのジャケットに記してある、スタッフ等の情報をテキスト入力してきた。また、実家には、ジョリクールの死の場面のお話のレコードもあった。これは、17cmシングル盤の大きさでもちろん僕がかったものだが、あまり記憶が無い。

 今年4月ころか、DVDで劇場版『家なき子』が売っていることに気づいた。高いので、少し迷ったあげく、9月ころにやっぱり買った。DVDのデッキは11月になって買った。劇場版は1980年3月15日に東宝洋画系で公開されたもの。私は未見である。ていうか、そんな存在もしらなかった。

 劇場版は、全51話を1時間半にちぢめたもので、たぶん駄作になっちゃうのじゃないかーと思ったが、はたしてそうだった。購入をためらった所以である。もうストーリーを追ってるだけ。アキャン家がらみのエピソードも全面カット。ジョリクール将軍の死までカット。逆に、後半はドリスコルがらみの話でサスペンス効果のみが強調されてしまっている。思いっきり悲しいのが、オリジナルで非常に良い味を出していた

宇野重吉の語り

がなくなっていること。

 しかし、副音声で総監督の出崎統と日テレプロデューサーの吉川斌とが、その映像を見ながら対談している部分。この対談は、非常に良い。買った甲斐があった。

 『漂流教室』などでもそうだが、あまり読んだり見たりしすぎると、感動が薄れ、慣れてしまうので、なるべく大事に見ないようにしたいと思う。まあ、そもそもなんでわたしがこんなページを作って、『家なき子』を宣伝しているのか、その理由を書いておこう。『漂流教室』とは見た目は全然違うが、極限の中を前向きに生きてゆく姿に、共通して感動するのです、わたしは。そういうこと。

 レミの十八番の歌の歌詞を書いておこう。本編では、何度も歌われているものの途中で終ることが多く、最後まで歌っている箇所は1回しか見たことがない。三拍子で情緒豊かな名曲である。

朝のひかり金に銀に 野辺の草をゆらすよ
鳥のうたも軽く高く はるかな森にはずんでいる
ひとの心目覚める時  僕の夢もふくらむ朝
青い空に雲はひかり 僕の胸もあつくもえるよ

 以下は、声優の一覧である。エンディング・テーマのタイトルバックで、声優の一覧が出るのだが、役名と並んで表記されるのは、レミ、ビタリス、バルブラン夫人、ミリガン夫人、マチヤといった人々くらいで、ほかの人達は声優名だけである。だから、勘違いがあるかもしれないし、それと同時にリストアップにもかなり偏りが有る。声を聞いて分る分だけ、という感じになってます。

声優

レミ 菅谷政子
ビタリス 近藤洋介
マチヤ 小原乃梨子
バルブラン夫人 鈴木弘子
ミリガン夫人 武藤礼子
アーサー 山本嘉子
ボブ 古谷徹
リーズ 高坂真琴
ジェローム 青野武
バンジャマン つかせのり子
ドリスコル 滝口順平
ローラ 前田敏子
デビッド 安原義人
ガレイ弁護士 寺島幹夫
パトリシア 肝付兼太
語り手 宇野重吉

 しかし、

小原乃梨子は上手いですね。

マチヤのふざけた様子、真面目な部分、ズル賢いくらいに切れる頭、逆にお調子者のところ、多様なマチヤの人間性のすべての表情を演じきっている。小原乃梨子といえば、まず思い起こされるのがのび太であろう。のび太は、あの性格ひよわな人物造型だから、いきおい表現が限定されてしまうと思う。オタスケマンなどのアターシャなんかもそうでしたよね。あれも、剽軽ながらも悪そうな感じに表現が限定されていたと思う。未来少年コナンもそうだったが、コナンはちょっとよい子すぎて、やはり限定されている。アニメ『まことちゃん』のママもそうだったっけ。小原の魅力が全くでてない。いずれにしても、マチヤこそが小原の代表作だと私は信じて疑いませんね。

◆スタッフ一覧、各回のあらすじ

#  キングレコード株式会社 K22G-7005
#  1980 「家なき子 II 音楽集」 \2200 より


放映期間……昭和52年10月2日〜昭和53年10月1日
(日本テレビ開局25周年記念立体アニメーション番組)
放映時間……毎週日曜日 午後6時30分〜7時
原作…………エクトール・マロー
企画…………吉川斌(日本テレビ)
音楽…………渡辺岳夫
作画監督……杉野昭夫
美術監督……小林七郎
撮影監督……高橋宏固
録画監督……山田悦司
場面設定……大橋学(第19話のみ遠藤裕一と共作)
特殊効果……橋爪朋二
編集…………鶴渕允寿・高橋和子
効果…………片岡陽三
整音…………山下欽也
文芸担当……小野田博之
制作担当……加藤俊三
録音制作……高具秀雄
背景…………小林プロダンクション
撮影…………高橋プロダクション
現像…………東京現像所
録音スタジオ……東北新社
演出…………竹内啓雄(第1話、偶数話)
            高屋敷英男(奇数話)
            ささまくら(第1話、第3〜12話)
総監督………出崎統
プロデューサー……武井英彦(日本テレビ)
                  山崎敬之(東京ムービー)
制作協力……東京ムービー、マッドハウス
制作…………東京ムービー新社

下の表の説明 スタッフ等の情報は、上のキングレコード「家なき子 II 音楽集」による。「1981年梗概」は、1981年ぼくが高校三年のとき再放送された際に、僕が書いたあらすじである。第1回〜21回まではたんなる寸評、第22回からは400字でまとめた。

第 1 回 シャバノン村のレミ少年

(仮題:シャヴァノン村のレミ少年)

放映日1977.10.2
脚本山崎晴哉 原画大坂竹志/伊藤幸松/藤島国夫/小柴重光 動画前田順子/沼憲子
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行本間一行
1981年梗概春、村の子レミ、8才の少年
第 2 回 運命の子レミ

(仮題:運命の子)

放映日1977.10.9
脚本伊東恒久 原画遠藤裕一/池田正和/堀越新太郎/服部真 動画萱登祥/奥村シロー/中村隆太郎/吉野考典
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行青野史郎
1981年梗概父親、裁判で負け、家へ。ビタリス登場。
第 3 回 レミの旅立ち

(仮題:別れの鐘)

放映日1977.10.16
脚本伊東恒久 原画若林常夫 動画
仕上山名公枝/木村文一/川上直子/橘高紀半子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行本間一行
1981年梗概うられて旅へでる。雨の中、宿さがし。嵐の夜、ゼルビーノ、骨を盗む。
第 4 回 レミ・前へ進め!

(仮題:前へ―進め!)

放映日1977.10.23
脚本山崎晴哉 原画小林慶輝/岡豊 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行青野史郎
1981年梗概カピと友達に。
第 5 回 レミの初舞台

(仮題:はじめての芝居)

放映日1977.10.30
脚本山崎晴哉 原画富沢和雄 動画宮崎弓子/檜田久美子/貞光紳也
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行本間一行
1981年梗概ひっしになってしばいをしてほめられる。最初は下手だった。
第 6 回 レミと青空教室

(仮題:青空の教室)

放映日1977.11.6
脚本伊東恒久 原画大坂竹志/伊藤幸松/藤島国夫/小柴重光 動画天野公子/前田順子/沼憲子
仕上山名公枝/土方博子/斉藤恵子/山崎千恵子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行斉藤昭一郎
1981年梗概字をおぼえるのにひっしになってビタリスにおこられる。
第 7 回 ドレミファ、レミ

(仮題:わが心の師匠)

放映日1977.11.13
脚本伊東恒久 原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行青野史郎
1981年梗概(おそらく)芝居をみておこる客が後でビタリスを酒にさそうがビタリスは「昔を思い出したくない」とことわる。
第 8 回 迷子のレミ

(仮題:ひとりぼっちのレミ)

放映日1977.11.20
脚本山崎晴哉 原画遠藤裕一/池田正和/萱登祥/奥村シロー 動画服部真/堀越新太郎/中村隆太郎
仕上山名公枝/美馬千文/小幡公春/羽山喜久子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行斉藤昭一郎
1981年梗概ボルドーで富山敬と出会う。彼のカラスが羽かざりをぬすむ。
2001年補記富山敬の声だったということで、役名は忘れた、ということ。
第 9 回 はじめての友だちグレース

(仮題:はじめての友だち)

放映日1977.11.27
脚本山崎晴哉 原画小林慶輝/岡豊 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努 進行本間一行
1981年梗概冬がぶたい。金持ち令嬢グレースと友だちになるがパーティに入れてもらえない。
第 10 回 思いがけない出来事

(仮題:ビタリスとの別れ)

放映日1977.12.4
脚本山崎晴哉 原画若林常夫/神宮慧 動画武市正勝/新田敏夫/谷沢豊
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行斉藤昭一郎
1981年梗概ひどい警官に「動物に口輪をつけろ」といわれ思わずなぐる。
第 11 回 ビタリスの裁判
放映日1977.12.18
脚本山崎晴哉
伊東恒久
原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/木村文一/川上直子/橘高紀半子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行青野史郎
1981年梗概正々堂々と釈明するつもりが、本名をあかせず裁判にまける。
2001年補記この回から1989年度の再放送で、録画をする。馬車に揺られてゆくビタリスを雨の中おいかけるレミたち。
第 12 回 小さな座長・レミ

(仮題:小さな座長)

放映日1977.12.18
脚本伊東恒久 原画大坂竹志/伊藤幸松/藤島国夫/小柴国光 動画天野公子/前田順子/沼憲子
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行本間一行
1981年梗概ビタリスのいない2ヵ月をレミが一座をひきうけるがたいへんだ
第 13 回 白鳥号との出合い

(仮題:運河のほとりで)

放映日1977.12.25
脚本伊東恒久 原画遠藤裕一/萱登祥/池田正和/奥村シロー/中村りゅうたろう 動画須田裕美子/服部真/堀越新太郎/吉岡智子/尾島和子
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行斉藤昭一郎
1981年梗概(みてない)肉をぬすむゼルビーノ、ミリガン婦人にたすけられる(打ち上げの日)
2001年補記この日、1981年度の再放送では打ち上げがあって見損ねた。
第 14 回 白鳥号のレミ一座

(仮題:白鳥の人々とレミ)

放映日1978.1.1
脚本山崎晴哉 原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/美馬千文/小幡公春/羽山喜久子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行青野史郎
1981年梗概白鳥号にさそわれ一しょにふなたびを。
2001年補記「一しょ」くらい漢字で書け。
第 15 回 しあわせな船旅

(仮題:船の旅)

放映日1978.1.8
脚本杉江慧子 原画富沢和雄/鈴木幸雄 動画檜田久美子/宮崎弓子/貞光紳也
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行本間一行
1981年梗概題のとおり、レミは有頂天になってしまう。カルカセンヌの城めぐり
2001年補記「カルカソンヌ」だと思う。
第 16 回 夢に見た二人の母

(仮題:幻の母を慕うレミ)

放映日1978.15
脚本山崎晴哉 原画小林慶輝/岡豊 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術清水一利
背景小林プロダクション 進行斉藤昭一郎
1981年梗概しあわせしぎる。アーサーは病状悪化でレミ、カピの活躍
第 17 回 さようなら白鳥号

(仮題:その日、レミは…)

放映日1978.1.22
脚本山崎晴哉 原画大坂竹志/伊藤幸松/藤島国夫/小柴国光 動画天野公子/前田順子/沼憲子
仕上山名公枝/木村文一/川上直子/橘高紀半子 美術男鹿和雄
背景小林プロダクション 進行青野史郎
1981年梗概ビタリス出獄。駅で再会。ビタリスの考えで養子縁ぐみはなし。
2001年補記ここでのビタリスの言葉は、忘れられない。養子を申し出るミリガン夫人に対して言うのである。「あなたは、あの子に、十分な物を与え、立派な教育を受けさせることは出来るでしょう。しかし、ぎりぎり自分の力で生きていく力を身に着けさせることが出来るとは思われない。私は残りの人生を掛けて、あの子にそれを教えたいのです」と。独善的と言えばそれまでなのだが、こういう自信を持った大人が、いまどれだけいることか。なお、決してビタリスは独善的な男ではない。極めて優しく、そして力強い。
第 18 回 ふりむくなレミ

(仮題:明日へ向って進め!)

放映日1978.1.29
脚本伊東恒久 原画若林常夫/神宮慧 動画武市正勝/永井美津子/樋口美和子
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術清水一利
背景小林プロダクション 進行本間一行
1981年梗概白鳥号のことをかんがえ芝居を失敗
第 19 回 猛吹雪の中で

(仮題:吹雪の中で)

放映日1978.2.5
脚本伊東恒久 原画萱登祥/奥村シロー/中村隆太郎 動画池田正和/須田裕美子/吉岡智子/尾島和子
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術男鹿和雄
背景小林プロダクション 進行斉藤昭一郎
1981年梗概決死の覚悟で山越え。猛吹雪に会うが山小屋をみつける
2001年補記このへん、暗い。
第 20 回 レミと狼

(仮題:吹雪の中の狼)

放映日1978.2.12
脚本杉江慧子 原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/美馬千文/小幡公春/羽山喜久子 美術清水一利
背景小林プロダクション 進行青野史郎
1981年梗概山小屋で夜、火の番をしていたレミはねむり、狼のわなにゼルビーノ、ドルチェがはいる
第 21 回 新しい生命の誕生

(仮題:レミの胸に生きよ)

放映日1978.2.19
脚本山崎晴哉 原画大坂竹志/伊藤幸松/藤島国夫/小柴国光 動画前田順子/沼憲子
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景小林プロダクション 進行本間一行
1981年梗概自分を責めるレミはしかし、セシルの牛のジョゼットを薬草でなおし出産を成功させる
第 22 回 名優ジョリクール

(仮題:偉大なる役者の死)

放映日1978.2.26
脚本山崎晴哉 原画富沢和雄/鈴木幸雄 動画檜田久美子/宮崎弓子/貞光紳也
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術清水一利
背景小林プロダクション 進行斉藤昭一郎
1981年梗概(23日放映)
 病弱なジョリクールは、最後、芝居を成功させ生命を断つ。
 重い風邪をひいたジョリクールをかかえたビタリス一座は、無一文ではあったが、その町一番の高級ホテルの最高の部屋に宿をとる。それは対人的に信用を得るためでもあって、そのため町一番の名医にジョリクールをみてもらうことができた。が、おりからの雪のため九日間もホテルに釘づけにされ興行できずに経済的に彼らはどん底に陥ってしまう。
 十日目の朝、空は青く晴れわたり、行きたがるジョリクールをホテルに残し3人は興行に出かける。が彼を欠いた一座は、歌と踊りしか出来ず、その熱演にもかかわらず充分なかせぎを得ることができなかった。
 するとその時、ジョリクール将軍がたいこをたたきながら見物人をひき連れて苦しそうにやってきた。ジョリクールを休ませようとするレミをビタリスは止めて「将軍の死」を始める。苦しそうではあるがこれまで最高の出来で芝居を終えた将軍は、しかし降る雪の上に倒れたまま二度と目を開かなかった。
2001年補記この回から受けた感動により、毎日あらすじを400字で付けようと決心したのである。文句無く、前半のクライマックス。脚本の山崎は、たぶん三人の中で、立作者なんだろうな。
第 23 回 素敵なお師匠さん

(仮題:哀しみのパリ)

放映日1978.3.5
脚本伊東恒久 原画若林常夫/岡豊/中島忠二 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/木村文一/川上直子/橘高紀半子 美術男鹿和雄
背景小林プロダクション 進行青野史郎
1981年梗概(81-6-24)
 仲間を失いながらもようやくパリに着いた一座ではあったが、レミには冬のパリは不気味なものに感じられるのであった。
 一座再建のためビタリスは、レミを知り合いにあずけ一人で働くことを決心するが、レミの優しさに胸をうたれ3人で働くことにし以前の友人でパリの実力者ディノに会いに行く。が、彼はもはや他界していた。
 しかしそんな時、ビタリスはかつての弟子で今や世界的歌手に成長したマルカーノに出合い彼からバイオリンの家庭教師の職をさがしてもらう。だが、マルカーノ宅でのビタリス紹介の時、子供をあずける立場の婦人たちは彼を旅芸人ということで軽蔑し、ビタリスは、彼のかつての栄光を明らかにしようとするマルカーノを止めて、その軽蔑に耐える。レミは、彼の姿をドアのすきまから見て泣くがしかしその屈辱に耐える立派な姿勢に胸を打たれずにはいられなかった。
 外は人の誇りまで奪うような吹雪だった。

欄外記事  ビタリス「ジョリクールあっての一座がジョリクールなしでは全滅したもおなじじゃ」。最近ビタリスは「前へすすめじゃ」をいわなくなってきている。* やっぱり題が「素敵なお師匠さん」であって決して「かわいそうなお師匠さん」ではないところがすばらしいのだろう。

第 24 回 パリの親友・マチヤ
放映日1978.3.12
脚本伊東恒久 原画遠藤裕一/池田正和/萱登祥/奥村シロー/中村りゅうたろう 動画須田裕美子/服部真/堀越新太郎/吉岡智子/尾島和子
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行本間一行
1981年梗概(25日放映)
 レミとカピが朝目ざめると、ビタリスは既に、職をさがしに出かけていた。二人はお師匠さんにまけられないと芸をしにパリの町にとび出すが、うまくいくはずもなかった。
 そんな時、バイオリンを持った少年マチヤに出会う。マチヤは他の子供たちとある親方のところで育てられていて、物乞いなどをして生計を立てているが、一日のかせぎが少ないと食事をぬかれることもしばしばだった。レミは彼をしつこくつきまとうやな奴と思っていたが、持ちまえの優しさから彼にパンを分けてやる。意気合った二人は仕事を始めるが、マチヤは、レミに物乞いをやらせる。結果は大成功であった。しかし、「旅芸人は物乞いとはちがう」とおしえられているレミはマチヤとけんかになるが、二人はもう既に親友になっていて、気持ちよく別れる。
 宿にもどったレミは、ビタリスから、三人いっしょに働ける職など無いことを聞かされ、ビタリスの知り合いの親方に預けられる。
第 25 回 ガロフォリ親方

(仮題:ルールスイーヌ通りの親方)

放映日1978.3.19
脚本杉江慧子 原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行斉藤昭一郎
1981年梗概(29日放映)
 ビタリスは、レミを連れて、レミを預けるためにガロフォリ親方のところへいくが、留守のため、職をさがしにレミを残して出ていく。
 夕方近くになって親方に預けられている子供たちが一人二人と帰ってくるが、その中に親友マチヤもいた。がマチヤは彼に、「こんな所から出ていったほうがよい」と忠告するが、その時ガロフォリが帰ってくる。親方は子供に冷酷で、自分は王様のようにいばっている。そして、かせぎの少ない子供たちをむちでぶとうとする。その時、職さがしから帰ったビタリスがそれを見つけて叱りとばす。そして、レミをつれて出ていく。マチヤは、ガロフォリに反抗しレミにさようならをする。
 ビタリスは結局宿るところがなく、バイオリンをうることにするが、レミの希望を忘れない心に心を動かされ、売るのをやめる。
 猛吹雪の中でビタリスは神に誓う。「どんな事があってもレミを、愛する息子レミを守ってみせます」と。
第 26 回 さらばわが息子よ
放映日1978.3.26
脚本山崎晴哉 原画大坂竹志/伊藤幸松/藤島国夫/小柴国光 動画前田順子/佐藤由美子/関三恵子/新木寿子/沼憲子
仕上山名公枝/美馬千文/小幡公春/羽山喜久子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行青野史郎
1981年梗概(6/30放映)
 寒い北風の中、彼らは宿を求めてパリ郊外の石切り場人足の小屋へむかう。がやっとのことで着いた石切り場には、大きな鎖の扉がしまっていた。彼らはやむなく、さっきみた教会にもどろうとするが、雪がふってくる。彼らは道傍にブロックの壁を見つけそこに休み、また教会を目ざす。もはや風はやんだが大雪になってしまった。レミはつかれてもう眠りそうだった。そしてそれを支えるビタリスのつかれもレミ以上であった。二人は来春の希望を話し合いながら、教会といわず灯を求めてさまよった。もう真夜中である。また吹雪になる。ビタリスは完全に盲目状態になるが、気を失いそうなレミをだきかかえ前へ進む。
 やがてビタリスはワラの山を見つけその中にレミとカピを自分がおおいかぶさるように入れる。ビタリスは夢をみていた。世界的テナー歌手だった栄光の日々のことを。こうしてビタリスは、愛する息子を自分の命とひきかえに守ったのだった。

欄外記事  「フランダースの犬」的な(あれを読んだときと同じ気持ちになった)内容で、かなしくて、しかしたんにかなしいだけではない何か。

2001年補記全体のちょうど半分。この回がすごい。放送では「ジャンティの石切り場」だが、原作では「競馬場」である。[補記]いえ、原作もジャンティの石切り場で良いようです。角川文庫版(鈴木三吉訳)などによる。
第 27 回 ビタリスの過去

(仮題:リーズとの出合い)

放映日1978.4.2
脚本山崎晴哉 原画若林常夫/岡豊/中島忠二 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行本間一行
1981年梗概(7/1)
 レミはアキャン家のベッドの中で目をひらいた。一家の主人ピエールはレミたちをみつけた時のことを話し隣の室に、永遠の眠りについたビタリスがいることをレミに告げる。ビタリスのそばにはカピが首をうなだれてひかえていた。カピは生きていたのだ。しかしビタリスの姿を見て茫然としたレミは、次の瞬間泣き出すと床にたおれてしまった。
 ビタリスの葬式は、アキャン家とレミだけで行なわれた。その間、レミは一言も声を出さなかった。声を出したらそのまま一生泣きつづけてしまったかもしれないから。ある日警察署長がやってきて、ビタリスの身元がわかったという。彼はかつて世界的なオペラ歌手カルロ・バルザーニであり、たった一時の失敗で姿をかくした責任感の強い誇り高き人だった。レミはビタリスの墓の前で「前へ進めじゃ」という声を聞いた。レミにとってビタリスは栄光のバルザーニより偉人であった。
 レミは花造りのアキャン家の一員となる。

欄外記事  春になったら買うと約束した馬車の上から、ふとビタリスがおりてやさしくほほえんで手をふりわかれる、という夢をレミは見ている。* レミは栄光のバルザーニを知らない。しかし旅芸人ビタリスは知っている。同一人物であるにもかかわらず、しかし、社会的身分は違う。しかし、レミにとってはビタリスは心の師であった。* ピエールがみつけたときすでにビタリスは死んでいた。ピエール(父)、エティエネット(長女)、アレクシス(長男)、バンジャマン(次男)、リーズ(次女)

2001年補記菊池訳では、ピエール・アキャンは赤根岩吉。ビエール(ピーター、ペトロ)は「石」の意。
第 28 回 リーズの思いやり

(仮題:アキャン家のレミ)

放映日1978.4.9
脚本伊東恒久 原画富沢和雄/鈴木幸雄 動画檜田久美子/宮崎弓子/貞光紳也
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行斉藤昭一郎
1981年梗概
 旅芸人ビタリスが死んでもう1ヵ月が過ぎた。外は彼がレミのために待ち望んでいた春そのものである。レミは一家の一員として花造りをおぼえるために仕事にはげんだ。アキャン家には大きな温室がいくつもある。既にいくつかの温室では花が咲いておりピエールが朝早くそれを市場に出しにいったその日のことだった。ある事件が起った。それはカピが近所の花畑を荒らしたというのだ。レミはそこの主人にきっぱりと謝る。主人は快く許してくれるがカピにくさりをつけろと言う。アレクシスなどの反対をおしきってくさりをつけるが、しかしレミは「カピは決してそんな事をしない。」と言い、彼らも安心する。夜、ピエールが帰るとリーズとカピがいない。捜しに出たレミは明け方近所の主人から真犯人は野ねずみだということを聞き、安心する。朝になって温室の中に、一家はリーズとカピを見つける。リーズはカピを思い、くさりをはずし暖かい温室でいっしょにいたのだった。

欄外記事  この日から、歌のときのバックの絵がかわる。まったくぼくの希望どおりの絵なのでびっくり。リーズ、マチヤ、そしてビタリス、バルブラン・ママ、ミリガン、ゼルビーノなど。

2001年補記オープニング・テーマのバックの絵が、ほんとにいいんですね。前半のバックは、くらいんですよ。
第 29 回 しあわせの温室

(仮題:幸福の温室)

放映日1978.4.16
脚本伊東恒久 原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/美馬千文/小幡公春/羽山喜久子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行青野史郎
1981年梗概(7/6日放映)
 アキャン家の花づくりは順調だった。ある日ピエールが子供らにほしいものはないかとたずねた。それは、花の初出荷の日のみんなへのプレゼントのためだ。それから一週間後温室の花を刈って、アキャンは市場にもっていった。子供たちはプレゼントを心待ちにしながらあそんだ。バンジャマンはレミに、なにをたのんだのかきいた。するとレミは「こんなみんなとくらせて、毎日がプレゼントです。」といったというのだ。みんなが心をうたれた。レミは花をビタリスの墓に供えてやった。家に帰るとアキャン家の地主がきていた。レミはそのことから一家が温室をつくるときばくだいな借金をしていることを知る。夜ピエールが帰ってきた。みんなで彼をあたたかくむかえた。彼は、レミにもプレゼントをかってきた。とてもたのしいパーティだった。次の日曜一家は隣村へよばれた。が少し家を出たが、夏だというのにひょうがふってきた。すぐ家にもどったが温室は全滅だった。

欄外記事  ビタリスが死んで3ヵ月。* エチエネットは洋服、アレクシスはお金、バンジャマンはナイフ、リーズは白いバラのなえだった。アレクシスは借金の返さいにやくだつように考えていた。* どうも最近要約がわるい。

2001年補記「素敵なお師匠さん」もそうだが、こういう価値逆転的なタイトルの付け方が心憎い。
第 30 回 兄弟の輪
放映日1978.4.23
脚本伊東恒久 原画岡豊/中島忠二 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行本間一行
1981年梗概(7/7)
 一家は全滅したしあわせの温室の前で茫然と立ちつくしていた。「何をぼくらがわるいことをしたというんだ」。アレクシスが叫ぶ。一家の雰囲気は暗い。地主は金をかさない。そんな中レミは彼を見ているしかできなかったが、夢の中でビタリスの言葉を聞いてから畑をたがやしはじめる。レミの明るさがら子供たちは明るさをとりもどすが、アキャンは裁判にかけられる。畑もあと種をうえるだけとなった時、しかし彼らは、アキャンが刑務所に入らねばならないことを知る。その日の午前にアキャンは連れていかれた。懲役5年である。午前に彼の妹カトリーヌがきて子供たちをひきとる話しをきめるが、それぞれはばらばらで、レミはひきとり手がいない。しかし「男はいつか一人で生きていかねばならんのだ」というビタリスの言葉をかみしめ、カピと伴に旅に出ることにする。みんなそれぞれ、兄弟の輪となるレミにプレゼントをやり、レミはリーズに白鳥のハンカチをやる。

欄外記事  ビタリスに連れられていあ頃のレミもすばらしく力強かったが、こうして今レミをみると、ほんとうに力づけられる。これからが本当のたたかいだ。いつだって生きることはたたかいさ。「さらば我が息子よ」のときは、しかしかなしすぎた。フランダースの犬のときと同じ気持ちになってしまった。

2001年補記ともかく不思議だが、小学3年で『フランダースの犬』を読んだときに感じた心の状態が有るのですが、それと同じ気持ちの状態になったのですねえ。大脳生理学とかだと、脳内麻薬の出かたとかで説明できるのかな(笑い)。
第 31 回 ありがとうマチヤ

(仮題:新しい座員・マチヤ)

放映日1978.4.30
脚本杉江慧子 原画大坂竹志/伊藤幸松/藤島国夫/小柴国光 動画前田順子/佐藤由美子/関三恵子/新木寿子/沼憲子
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行斉藤昭一郎
1981年梗概(7/8)
 アキャン兄弟と兄弟の輪の約束をしたレミは、まずピエールに会うためにパリに出てくる。アキャンは、前むきの姿勢でがんばるレミに感心し元気づけられ、彼に銀時計を贈る。
 レミは旅の用意として地図を買いに町に出、気のいい若い男から、ただで地図をもらう。ところがその直後、レミはよっぱらいにからまれ、芸をしてみろといわれる。レミは承知しすばらしい歌や演奏をかなで、心配そうに見た人々は感心するが、よっぱらいは怒りだしあげくのはて、時間あてにつかった、アキャンからの銀時計をよこせという。そこへガロフォリから独立したマチヤが機転をきかせてレミを助ける。二人と一匹はその場をにげセーヌの河岸でレミは彼を旅にさそうが、パリを気に入っているマチヤはいい返事をしない。午後になって、旅だとうとするレミではあったが、迷子さがしのため出発がおくれマチヤのすみかにとまる。二人でハープとバイオリンの演奏をしながらマチヤは旅の決心をする。
第 32 回 すてきな思いつき
放映日1978.5.7
脚本山崎晴哉 原画遠藤裕一/萱登祥/中村隆太郎/若林常夫 動画服部真/奥村シロー/堀越新太郎/吉岡智子/尾島和子
仕上山名公枝/木村文一/川上直子/橘高紀半子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行青野史郎
1981年梗概(7/9)
 かせぎはその日ぐらし程度でしかなかったが、すばらしい旅であった。マチヤはバイオリンをはじめ楽器はなんでもこなした。
 ある日、彼らは結婚式を町中でいわっている場面にぶつかる。ところが、そこの仲人の話では楽隊が都合がわるくてこれなくなったというのだ。そこで、彼らはその役をかって出て式を大成功させた。そのため28フランも彼らはもうける。その夜、レミはバルブランママの夢を見た。次の日、レミはアレクシスのいる所へいく途中にシャバノン村があることに気づき、2人でいくことにしてマチヤは28フランでプレゼントも買っていけとすすめる。何日も迷ったあげくルーセットの夢を見たレミはプレゼントを牛にしようとする。それを気づいたマチヤはこっそり朝はやく市場にいくが、牛は150フランもすることをきかされ門前払いをくらう。次の日(その日の午後かもしれない)、マチヤは「牛は150フランするんだ。あと122フランがんばろうぜ」という言葉に、昨日の出来事をこっそりみていながら、うなづくレミであった。

欄外記事  マチヤはイタリア人で、5才のとき母に死別、ガロフォリにあづけられる。彼のマフラーは母が作った。あと1ヵ月でシャバノン村につく。そこで子供のころのうぶぎを見て、白鳥のししゅうにきづくレミが見られるだろう。

第 33 回 とんでもない仲間

(仮題:新しい仲間)

放映日1978.5.14
脚本山崎晴哉 原画富沢和雄/鈴木幸雄 動画久仁茜子/佐藤美代子/杉村季見子/亀垣一
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行本間一行
1981年梗概(7/13)
 牛を買うためケチケチ作戦を展開しながらアレクシスのいる炭坑町○○○にむかうある日の昼、彼らはサーカス一座の馬車の列をみつけ、これ幸いとこっそりのり込んだ。その中に、虎がいて、レミはびっくりするが、もっとおどろいたことには、ジョリクールそっくりのさるもいた。サーカスにいたマチヤはおしおきのためにさるが虎のおりに入れられたのだと説明するが、なるほど態度もふてぶてしい。おりのかぎをはずして、出てきたりもする。ところがそのとき彼らが、座長にみつかりにげ出すと、さるもついてきて、座長は、「そのさるくれるから大切にしろ」という。(名前はないそうで、でもつけるとしたらジョリクールしかないとレミは思った。彼らはそのあと○○○行きの汽車にとびのり、途中みつかるが、ゆるしてもらい○○○に、マチヤのみつけたトロッコでいっきに着く。アレックスにはすぐあえるが、それはけがをした彼にであった。幸いけがはかるかったが本採でない彼は、少しでも仕事を休めば、くびになることをききレミはマチヤのいうもきかずその役をひきうける。

欄外記事  こんな見ていながら、アレクシスの町の名と、彼の新しい家族、婚約者のなまえなんかがわからないよ。

2001年補記町の名はバルス。原作だと、2代目ジョリクールというのは居ない。空飛ぶジョリクールというのは本作のまったくの独創。
第 34 回 嵐!地下250メートル

(仮題:嵐!地下200メートル)

放映日1978.5.21
脚本山崎晴哉 原画岡豊/中島忠二 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行斉藤昭一郎
1981年梗概(7/14)
 アレクシスのかわりとしての一日目がやってきた。レミはガスパールおじさんといっしょに地下250mまでおりて、そこでトロッコおしをしなければならない。一日おわるともうくたくたである。しかしみんないい人ばかりでとても楽しい。その日の夜、マチヤは、その日の興行のことを話した。結果は、ジョリクールのせいでめちゃくちゃである。しかし、マチヤは古着屋でかってきたジョリクールの衣装をレミに見せてやった。レミは胸がこみ上げてきた。それは一代目ジョリクールのと同じからである。2代目ジョリクールは、それを自分からきた。その後は仕事も興行も順調だった。が一週間後の雲行きのわるい日、レミがいったあとマチヤは堤防をあるいていると技師のポールに会い堤防があぶないことをきく。一時間後雨が降り出し、堤防の作業にもかかわらず水かさが増し、とうとう堤防は決壊してしまう。その水はレミのいる炭坑の中へどんどん流れていくのだった。

欄外記事  今日はひさしぶりに決まったな(読んでみると決まっているのはスペースだけか?)

2001年補記書き始めて、きっちり400字で終える、というのは結構難しいのですよ。
第 35 回 レミを救え!
放映日1978.5.28
脚本山崎晴哉 原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/美馬千文/小幡公春/羽山喜久子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行青野史郎
1981年梗概(7/15)
 炭坑は大さんじとなった。夕方になって空気の圧縮による爆発もやみ、人々の救出作業が始まった。夜通しやった結果死者50数名、けが100数名、行方不明5人とわかり、行方不明はガスパール、レミ、炭坑の生き字引的の先生などである。彼らは地下250mの廃坑にとじこめられていたのである。何日かかったろうか、レミは、シャバノンをたよりに希望を持ち、食料を得るため、先生のかくれ家の食料をさがしに、泳いでいくが、つかれきって木の上でねむってしまう。そして夢の中でビタリスの「前へ進めじゃ」を聞く。地上のふっきゅう作業は夜昼なくつづけられる。が一週間たち、所長は、排水バケットを止めてしまう。マチヤは怒り、やすまず働きつかれた体にむちうって一人で働く。所長は胸をうたれバケットをまたうごかす。中の5人は、地上の音を聞き、もうすでに壁一つそこまできていることを知る。レミは、トロッコのレールをたたいてマチヤに知らせる。マチヤも合図する。感動の瞬間の後、五人は助け出される。

欄外記事  主観が入ってしまったが本当に涙が出そうだった。レミは夢を見る。マチヤ、リーズ、バルブランママ、ミリガン婦人、アーサー、それからビタリスに会う夢を。しかし、ビタリスはレミに言う。「お前はまだここへきてはいかん。前へ進めじゃ」。

第 36 回 音楽の天才マチヤ

(仮題:音楽のレッスン)

放映日1978.6.4
脚本伊東恒久 原画大坂竹志/伊藤幸松/藤島国夫/小柴国光 動画前田順子/佐藤由美子/関三恵子/新木寿子/沼憲子
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行本間一行
1981年梗概(7/16)
 レミたちがバルスを出たのは、彼が救出してから一週間のことだった。また旅がはじまった。彼らはクレルモンで市がたっていることを知り、そこでまあまあのかせぎをする。が、一日目の夕方、マチヤは町の少年に、音楽についての質問をうける。「なぜバイオリンは4本の弦か。なぜ2弦で音をあわせるのか」など。マチヤにしてみれば、今まで考えたことのない範囲のものであった。それによって彼は自信を失い「本当の音楽を学びたいなあ」ともらす。レミは、そこで、ちかくの町の音楽家エスピナスをさがして、二人の音楽をきいてもらうことにする。先生の前でまず、少年からきいた質問をぶつけるが「音楽は芸術だ。まず君たちの音楽をききたい」。二人の演奏がおわると、先生は、マチヤを天才だといい、ここにとどまることをすすめる。レミはそれを見て、こっそりそこをぬけ出し遠くへいく。しかしマチヤはマチヤだった。百姓の馬車の上でねころがって「えっ、子供と犬がみえた?おれには天才よりあれが大事なのさ、あれが」。

欄外記事  今日はうちあげだったのでこれをモカでみた。あまり感動的ではないというゲバひょうにも in spite of なかなかさいごはよかった。天才あつかいされ、名曲をきかされるマチヤ、それとは逆に自分がいれば彼の決心をにぶらせると出てゆくレミ。馬車の上での百姓との会話を思い出すだけかいてみよう。「むこうに子供がみえないかい?」「ああみえてきた。犬とハープをしょった子供」「そいつ、なきそうでないか」「いや顔まではどうも」「そいつの横しらんぷりしてとおってくんな」……(よくわからん)……「おれにはもっと大切なものがあるのさ、あれよあれ」。感想、最初お金かななんておもってしまった。

2001年補記打ち上げの日で、長岡の喫茶店モカで、クラスの連中と見た。エスピナース先生は、本業が床屋。音楽の先生を探していたとき、「音楽の先生って? ここで、エスピーナス先生を知らないのかい?」と楽器屋のおばさんにいわれ、「会っていただくにはお金がかかるのでしょうか?」という質問に、「男なら、お金さえ持っていけば、だれとでも会ってくれるわよ」と言われる。隣町のランダンヌに住んでいる。発音は、エスピナスでなくエスピナースという感じ。ジョルジュ・エスピナースという。
第 37 回 ママへの贈り物
放映日1978.6.11
脚本伊東恒久 原画遠藤裕一/萱登祥/中村隆太郎/若林常夫 動画服部真/奥村シロー/堀越新太郎/吉岡智子/尾島和子
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行斉藤昭一郎
1981年梗概(7/20)
 彼らは裕福な温泉町モンドールへむかった。そこにはお金持ちがたくさんいた。が、レミらの同業者もいっぱいいてレミたちなど相手にされない。何日やってもだめだ。ここでの興業をあきらめかけたころ、しかし、大きな力を得る。つまり今まで遊んでいたジョリクールが、彼らの苦労を知ってか、突然芸をしたのだ。風船を持った空とぶジョリクールだ。これは大あたりで、三日にしてのこり50フランをかせぎ、その夜、次の牛の市がたつユッセルへむかった。ところがその市は、すこしインチキっぽくレミはがく然とする。そこを警官が見つけ、彼らの150フランが疑わしいという。そこを救ったのがモンドールがえりの親切な獣医である。そこでレミは思いきって彼に牛の鑑定をたのむ。ひきうけ、おわりそうな市に獣医といそぐ。まさに、鶴の一声で、獣医のいうことならなんでもきく市の責任者は赤茶の上等なめ牛をならべる。レミはその中からルーセットににた一頭を決めた。
第 38 回 バルブラン・ママ
放映日1978.6.18
脚本伊東恒久 原画富沢和雄/鈴木幸雄 動画久仁茜子/佐藤美代子/杉村季見子/亀垣一
仕上山名公枝/美馬千文/小幡公春/羽山喜久子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行本間一行
1981年梗概 (7/21)
 彼らはシャバノンへの道をあるいていた。ビタリスにつれられて村をはなれた時の道を。レミは峠まで走った。村が見える。そして家の前までいく。もう今はジェロームも気にならない。家にはだれもいなかったがママがすんでいることは彼のつくったきくいも畑を見てわかった。ママがかえってきた。全く劇的(ドラマチック)だった。とめどなく涙が流れる。マチヤもないていた。レミはママにみんなを紹介した。そして牛も。名前はルーセットしかない。その晩はホットケーキをたべた。レミのベッドにマチヤと寝た。少ししてレミはマチヤの「おれもお母(かあ)がほしいよ」の寝言で目ざめ、ママと話をする。そしてつくろいものをしているママから大変なことをきく。つまりレミの生みの親がわかったというのだ。そしてジェロームはそのためパリへいっているのだという。レミはそれをきいてもうぼうぜんと立ちつくしてしまった。

欄外記事  レミはビタリスに40フランでうられた。

2001年補記正確には、マチヤの寝言は「おれもおっ母(かあ)にあいてえよう」であった。
第 39 回 急げ!パリへ
放映日1978.6.25
脚本山崎晴哉 原画岡豊/中島忠二 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行本間一行
1981年梗概(7.22)
 ママはレミに3ヶ月前の話をした。本当の親の弁護士が、バルブラン家をたずね、ジェロームがレミをさがしにパリへいった話を。レミは胸がつまって、表へとび出した。マチヤが出てきた。「ぼくはいままで本当の親になんて会いたいと思わなかったんだ。ただバルブランママがいる。それだけが支えになっていたんだ。でもでも今とてもぼくを生んだ親にあいたいんだ」。そして、でもそうするとママが悲しむと思ったが、ママは世界中で一番レミのことをおもっているママが悲しむわけないと言う。次の日、彼らはジェロームのいるパリにむかって出発した。レミは、ほほえみながら、しかしひっそりをなきながらみおくったバルブランママの姿を決してわすれまいと思う。そのころミリガン家では、11年前に他界したミリガン氏の長男リチャードのゆくえがわかりかけていた。というのは、弟の(なんとか)男爵がある日ささいな決とうでやぶれ死ぬまぎわに、そのことをもらしたからである。しかし、レミもミリガン夫人もお互いのことを親子だなどとはわからなかった。
 レミらは、途中兄弟の輪の約束をはたすためドルーズイのリーズのところへたちよった。トルーズイの運河でローズを見つけた。レミがハープをひき、リーズはそれに気づいた。レミはリーズにアキャンおじさんのこと、アレクシスのこと、マチヤと牛をかったこと、いろいろはなした。口のきけないリーズではあったがレミには、彼女の目のかがやきでよくわかった。夕ぐれ、マチヤが占いをした。運河に石が三回はねたらレミは首尾よく親に会える。そしてレミが、3回はねたらリーズが幸せになる。リーズは、そしてマチヤの幸せをいのって。すべて3回はねた。レミが手をすりむいた時、リーズが出したハンカチは白鳥のハンカチだった。それを見て、レミは少しミリガン夫人を思い出したような気がした。次の日、レミは、リーズに「また絶対あえる」と約束して、パリへむかった。マチヤがいった。「占いはしゅびよく親にあえる」と。

欄外記事  今まで一番すばらないふんいき。あたたかい、夕日のなかの彼らの占い。

2001年補記この回、ビデオを取り忘れている!
第 40 回 レミはイギリス人!
放映日1978.7.2
脚本山崎晴哉 原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行斉藤昭一郎
1981年梗概(7.23)  
 彼らは、乗合い馬車でいそいだ。(パリまで全員で5フラン)そのころパリではジェロームが、安宿にとまって、レミをさがしていたが、なにも手がかりはあるはずはなかった。そして、健康もそこねていてよくない状態だった。レミたちは、パリについた。マチヤの案内で、パリの安宿どうりをさがすと、ようやくジェロームの宿がみつかる。昼なので彼はいないが、そこで彼らはまっていた。そのころジェロームは、レミをさがしてパリをさまよっていた。そして、体もだるく、腹もいたく、最悪の状態でかえってきた。おかみさんはびっくりし、医者をよびにいくとき、「レミ君、ひろってくれた人をうらんじゃいけないよ。どんなひどい親でもその人のおかげでいきていられるんだから」。レミは今までそんなこと思ってもみなかった。しかし、その言葉でジェロームに対してすなおになれた。「フッフッ、レミ。おれに感謝するこたねえぜ。なんてたってえ、おれはおまえを金にこまってうっちまんたんだからよ」。マチヤと、ジェロームをベッドにねかせてやった。「いいかレミ、だまっておれのいうことをきくんだ。イギリスへいけ。ロンドンのガレイ事務所にいくんだ。これがその旅費だ。こんなことになるんなら、上等なワインにしてしておくんだったな。おれにはつきがなかったぜ。でも、こんなおれでも一つだけ、いいことがあったぜ。それはおまえのママからとても愛されたことだった」。「レミ、とうさんってよんでやれ」「とうさん!」。息たえたジェロームにマチヤは「おれはこんな人生まっぴらだぜ。おれはついてついてつきまくるぜ、ちきしょう」。外へとびだし、旧い友のはなびを打つ。部屋の中ではジェロームとおかみさんと医者とレミがその光にてらされた。レミはシャバノン村に手紙をかいた。「愛するバルブランママへ。あなたをとても愛していた人が死にました。ぼくと同じくらい、いやそれ以上にあなたを愛していた人が今、永遠のねむりにつきました。涙がとまりません」
2001年補記ジェローム、ここでは非常にいいやつ。宿屋のおかみさんがいい味をだしている。
第 41 回 やっと会えたパパとママ

(仮題:ほんとうのパパとママ)

放映日1978.7.9
脚本杉江慧子 原画大坂竹志/小柴国光/伊藤幸松 動画前田順子/佐藤由美子/関三恵子/新木寿子/沼憲子
仕上山名公枝/美馬千文/小幡公春/羽山喜久子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行溝口隆久
1981年梗概(7/27)

 ジェロームが死んですぐあと、彼らはブローニュの港にいそぎ、そこからドーバーをわたった。(途中、ミリガン夫人とアーサーののるごうかきゃくせんグレートブリテン号とすれちがいお互いわからないながらも手をふる)。ロンドンに着いたのである。その足でガレイ事務所をたずねる。レミはどうもまだ複雑な気もちだ。ガレイは馬車で彼らをつれていったが、マチヤはそのついたところをみて、びっくりした。パリの裏どうりよりもっとひどいところなのだ。そこのドリスコル家がレミの家だという。主人が出てきて、レミをだいた。レミのママも彼をだいてキスをした。しかしレミにはうれしさは込み上げてこなかった。レミはよろこぼうとしたが、だめだった。マチヤはそれに気づき、夕食前に役所にしらべにいった。どんちゃんさわぎの夕食のあと、マチヤは、レミにいった「あいつら本当の親じゃないぜ。あいつら昔も今も子供なんて一人いないんだ」。「やっぱり……。でもそれじゃなんでぼくをひきとったんだ」。そのころドリスコルは仲間と霧のロンドンでうちあわせをしていた。レミがどうとかいいながら。

2001年補記ドリスコル一味との絡みあたりから、僕としては急に面白くなくなってくる。僕の趣味としては、レミとマチヤが楽しく興行しているのが、一番たのしい。
第 42 回 ドリスコルの正体
放映日1978.7.16
脚本杉江慧子 原画遠藤裕一/萱登祥/中村隆太郎/若林常夫 動画服部真/奥村シロー/堀越新太郎/吉岡智子/尾島和子
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行本間一行
1981年梗概(7/28)
 レミがドリスコル一家の子供ではないことはわかった。では、なぜ高いお金をはらってレミをさがすため弁護士までやとったのか。彼らは、レミの本当の親をドリスコルが知っているとにらみ、さぐり出すことにした。彼らは愉快にふるまった。そして外にいろいろさぐりにも出た。ある晩彼らがねたふりをしているとドリスコルらは、外に出ていった。おまけに彼らの部屋のドアまでしめて。彼らはまどから出てあとをつけるとドリスコルらは貨車から荷(スコッチウィスキー)をはこび出していた。やつらは大盗賊だった。子分も十数はいる。しかしやつらの目下の計画は、レミを身のしろにミリガン家から金をとることだった。きょうはく状もかいたが、しかしミリガン夫人は今はパリである。マチヤは、ドリスコルの手下をおだててこれからの計画をきき出そうとした。が、ばかな手下は誘かいということは口をすべらせたが、大事な「ミリガン家」をさらにばかなことに思い出せなかった。レミは興奮していた。

欄外記事  マチヤは、外出中、パリのサーカス時代の兄貴分の黒人の曲のりボブに出あう。

2001年補記愉快にふるまってるマチヤが圧巻。レミの不自然な愉快さもたいへん面白い。
第 43 回 ミリガン家の紋章
放映日1978.7.30
脚本山崎晴哉 原画富沢和雄/鈴木幸雄 動画久仁茜子/佐藤美代子/杉村季見子/亀垣一
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行本間一行
1981年梗概(7/30)
 ドリスコルは確かにレミの本当の親をしっているんだ。その確信はレミを興奮させた。ある日ドリスコルらの姿がみえない。さがすと地下の秘密の部屋で、レミの身代金のことをはなしていた。そこではフィリップはどうもみのしろきんの成功を信用していない。そこでドリスコルは紋章をみせた。レミ、マチヤは、その夜その紋章をさがし出し、その足でにげようとした。がドリスコルに見つかり激しい抵抗にもかかわらずつかまり、3〜4階にしばられてしまう。マチヤはわめいたりするが、レミはさっき見た紋章がわすれらない。そしてそれがやがてミリガン夫人のペンダントと一致する。マチヤはそれをきき、ドリスコルに「見はりがしゃべった」とうそぶく。ドリスコルは見はりをおこったあげく、「レミをパリに捨てたのはおれだ」と告げる。すべてはわかった。「ミリガンさんが本当のママでアーサーが本当の弟だなんて」、レミは目に涙をためて、しかし、微笑む。夫人とアーサーは今パリである。運命の子レミと本当の母親とはまだ気の遠くなるような隔たりがあった。
2001年補記サスペンス的には面白いのだが、本来の『家なき子』の良さとしては邪道だと思う。
第 44 回 母と子を結ぶ糸
放映日1978.8.6
脚本山崎晴哉 原画岡豊/中島忠二 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/木村文一/川上直子/橘高紀半子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行斉藤昭一郎
1981年梗概(8/3)
 彼らは、つかまった。が、錠を秘かにはずし、そして上へにげた。ドリスコルがおこってくるが、非常階段から下へいく。が、階段はこわれていた。(ドリスコルが階段をおりるとそれがくずれ、彼らはぶらさがってしまう。そして、窓をわって中に入る)。がなんとかにげのび教会へもぐりこんだ。手下がおいかけてきた。うまくかわしたが最後マチヤはつかまってしまう。「ボブのところへ」というマチヤの声をきいて、レミはにげた。(けんめいだ)。ボブはレミをむかえて、暗くなったら、助けにいくといった。そのころ、あのバンジャマンが、パリのアキャンに会いにいった帰り白鳥号を見つける。ミリガン夫人らは彼らからレミの話をきき、彼といっしょにレミのいるらしいリーズの住んでいるドルーズィにむかうことを決心する。果して夜になった。傷だらけのマチヤは人買いに50ポンドでうられるところだった。そこをボブらの曲乗りの技術で、たすけられる。レミはホテルで50ポンドという金額に笑いころげたが、おしまいには涙が止まらなかった(うれしかったからだよ)。そしてまたミリガン家をたずねることにした。バンジャマンと夫人の出合いで母と子のディスタンスがちぢまった。
2001年補記「ディスタンス」って、アルフィーか(笑い)。
第 45 回 遠ざかる母
放映日1978.8.13
脚本伊東恒久 原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行溝口隆久
1981年梗概(8/4)
 ボブと、レミ、マチヤは、朝早く小舟でテムズ川をミリガン邸にむかった。しかしドリスコル一家に見つかり舟はこわされマチヤは気絶してしまう。その場をうまくのがれたレミはマチヤをボブにまかせ、馬で追ってくるドリスコルをふりきりながらミリガン邸へ走る。そして、あるおじいさんの家にかくまってもらう。追いかけてきたドリスコルをおじいさんは機転をきかせておっぱらってしまった。レミは彼からスープをごちそうになり、その食器の紋から彼がかつてミリガン家の召使だったことを知る。そして彼の家の窓からはミリガン邸が見えるが、夫人もアーサーも今はパリだということを聞かされる。と、その時ドリスコルがかえってきて、レミをさらっていってしまった。あとにのこったカピは、マチヤ、ジョリクール、ボブのいるホテルにとぼとぼもどった。つかまったレミは絶体絶命であったが、そのとき、窃盗容疑で警官が踏み込んできて、関係ないレミまで連れていかれる。
第 46 回 絶望の中で…

(仮題:悪魔の嘘)

放映日1978.8.20
脚本伊東恒久 原画大坂竹志/小柴国光/伊藤幸松 動画前田順子/佐藤由美子/関三恵子/新木寿子/沼憲子
仕上山名公枝/西山誠/浅香邦子/豊田きみ子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行青野史郎
1981年梗概(8/5)
 ついきのうまでのはずむ心が、うそのようだった。「つかれてなんていない。どこへでもいけるのに…」。ドリスコル一味を逮捕したエイムズ警部は、レミをとり調べた。正々堂々と釈明するレミに容赦なくくってかかる。ミリガン家の本当の子といっても信用しない。最後にはドリスコルの子供ときめつける。そのころ白鳥号はドルーズィにつく。レミのまわりがみえない糸で結ばれはじめた。夫人はそこで、レミがみなし子だったことをはじめて知りシャバノンへいく決心をする。そしてまたレミからのハンカチを川におとしてひろおうととび込んだ、心の優しいリーズをアーサー同様スイスに治療にいかせる許可を受ける。レミは一方、強性に口を開かないため、少年刑務所に入れられることになる。その発表を記者に化けてきいたボブは、マチヤや他の仲間と決心する。「少年刑務所に入ったらもう出てこれねえなあ。このへんで一丁やるしかないかな」。

欄外記事  リーズのかんじがとってもすき。あのドラムのきいた音楽は心のやすらぎ。

2001年補記取り調べに対し、意を決して、レミは自分がミリガン家の捨てられた長男であることを告白する。警部はそれを一笑に伏す。ミリガン家は各新聞に毎月尋ね人広告をだしており、おまえで62人目だ、というのである。
第 47 回 決死のダイビング

(仮題:跳べ!逃げろ!)

放映日1978.9.3
脚本杉江慧子 原画遠藤裕一/萱登祥/中村隆太郎/若林常夫 動画服部真/奥村シロー/堀越新太郎/吉岡智子/尾島和子
仕上山名公枝/木村文一/川上直子/橘高紀半子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行本間一行
1981年梗概(8月6日)
刑務所の外でマチヤのバイオリンがきこえる。彼のしらせで、レミは、彼らの計画を知った。次の日、警部に連れられ汽車に乗ったが、その中にマチヤとボブを見た。警部らは個室をとったが、マチヤらは、ずうずうしく入りこんで、居すわった。ロンドンから一時間はなれた草原では、ピーター、マックスがまっていた。この少し手前でマチヤは室に無数のドブネズミをまきちらした。そして警部のひるんだすきにボブは窓から汽車の上へレミをひきあげ、ピーターらのまっている所で、とびおりた。ピーターらの馬車の中で、みんなの思いやりに感謝していると、むこうの方では既に、捜査線がはられていた。彼らはピエロと女の子に化け、うまく関をこえた。がジョリクールの失敗でみやぶられて馬でおいかけられる。馬車と別れて、山ににげ込むがとうとう川の上の崖に立たされる。「おれはおよげねえんだよお」というマチヤに、おぼれるときはいっしょだと手に縄をむすび、三人と2人は10m以上ある大きな河にとびこんだ。

欄外記事  この頃、夫人はシャバノン村にいく。馬車の中で、ボブは船長を紹介すると約束し、マチヤはサンドイッチを用意してくれ、ピーターとマックスは「むぎ畑」のうたをうたった。

2001年補記警察の検問を抜けるさい、ボブはピエロに、マチヤとレミは姉妹に女装する。マチヤはしょせんマチヤだが、眠った顔のレミが異様に美しい! 検問を抜けたあと、ジョリクールが調子に乗りすぎて、マチヤのかつらを落してしまい、バレる。
第 48 回 嵐の英仏海峡
放映日1978.9.10
脚本杉江慧子 原画富沢和雄/鈴木幸雄 動画久仁茜子/佐藤美代子/杉村季見子/亀垣一
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行斉藤昭一郎
1981年梗概(8/10)
 劇流を下っていった。ボブがその中で岸につくと、レミとマチヤも、木にひっかかっていた。生きていたのだ。彼らはすこしやすんでリトルハンプトンに向かった。夕方には、レミは、英仏海峡を見た。ボブは、アンディ船長と再会し、事のしだいを話すと、心よくひきうけ、その足で、警官のはっている港を出た。岸ではロンドンにのこるボブが手をふった。船には、彼らと船長の他、ホートンというキザで、強そうな男と彼のオウム、パトリシアがいた。彼はこの日蝕号出航の説き、嵐になると忠告したのだった。案の定あらしになった。船よいして文句をいうマチヤに対して、言われたとおりレミは、眠る。そこで、思い出の人々の夢をみるが、さめた後の大しけに気づく。ひどい嵐でてんぷくすん前であったが、積荷を捨てることでたすかった。次の朝、目の前にはなつかしい大陸(フランス)があった。レミはボブ、ピーター、マックス、ホートンそしてアンディ船長を決してわすれまいと思った。

欄外記事  ちょっとかきたらねえな。

2001年補記これは正直言って、無意味な回。船員のホートンはその後おなじスタッフで制作した『宝島』を彷彿させるか。最後の「決してわすれまいと思った」は、宇野重吉の語りの文言のままなのだが、ちょっと安易か。
第 49 回 二人の母

(仮題:ふたりのママ)

放映日1978.9.17
脚本杉江慧子 原画山下征二/阿部司/佐藤徹/寺司重幸 動画田口智子/神林光嗣
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行青野史郎
1981年梗概(8/11)
 彼らは嵐の海を渡りきり、もうフランスについた。ジュネーブにいくには、リヨンを通る(このころ「むぎ畑」をうたう)と察した彼らは、リヨン行きの汽車賃を得るため、興業を行うが、穫得の秋、人々は興味を示さない。(むかむかして二人は「はらぺこマーチ」をうたう)そんな時、彼らは知らぬ間にサンカンタンをとおりバンジャマンに出会う。彼のおじさんのリンゴ園をレミ、マチヤ、カピ、ジョリクール、それぞれ手伝って、親切なおじさんから、汽車賃をもらうのだった。一方、シャバノン村についた、リーズとミリガン家の人々を、バルブラン夫人は、すぐに彼らとわかる。家の中で、ルーセットのミルクを出した時、ミリガン夫人は、レミのうぶぎを見せてほしいとたのむ。バルブラン夫人はそれをとり出すとき神に「レミがもしあの方の子であっても、レミは私の子だと思うことをおゆるし下さい」。ミリガン夫人はうぶぎをうけとると、胸にだきしめて、泣いた。静かな時間が流れた。みんなが、心から祝福した。アーサーのぐあいを見てその日村を別れた。

欄外記事  レミのうぶきはミリガン夫人のお手、ラストのラフスケッチはリヨン駅でのレミとミリガン夫人のすれちがいを暗示している。

2001年補記うぶぎを取出すときのバルブラン夫人の心中語は、ほぼ放送のままだが、すばらしい脚本だと思う。[補記]最近確認したら、違ってました。正確には「神様……たとえあの方がレミの本当の親でも、レミはいつまでもわたしのレミ、そう思ってもよろしいですか。」僕は、自分で書いたほうで信じこんでいたので、なんかセリフ的にはイマイチだが、いずれにしても、この時の鈴木弘子の切ない声がなんとも言えずうまいのである。
第 50 回 はじめての言葉…レミ!

(仮題:初めての言葉・レミ)

放映日1978.9.24
脚本山崎晴哉 原画岡豊/中島忠二 動画飯野考/青山充/国島竜二/上杉遵史
仕上山名公枝/木村文一/川上直子/橘高紀半子 美術清水一利
背景青木勝志/石垣努/小倉宏昌/海保仁三郎 進行溝口隆久
1981年梗概(8/12)
 彼らは雨の中シャバノン村のママのいる家についた。ミリガン夫人とは一足違いではあったが、もう心配は何もなかった。あとはもうジュネーブにむかうだけだ。その日、ルーセットは、お産をむかえていた。仔牛の名をマチヤ、レミなどと彼らは考えていたが明け方近く生れたのは、雌牛だった。ママは「いい名前があるわ。リーズってどう」。レミは少し照れた。次の日(その日)、彼らは、ママが手を振るシャバノン村を出発し、汽車にのり、ジュネーブについた。そして(レマン)湖のほとりに白鳥号を見つける。中にはだれもいなかったが、かん板の上でレミは、幸せ船旅を思い出していた。しかしマチヤはいった「幸せすぎて不幸になるってことだってあるって話だ。この幸せもだれかが悲しんでいるかもしれねえ。いや、わるいこといっちゃったな。お前の幸せを悲しむ人なんていねえよな」。レミは、バルブランママを思い出した。そしてそのことに気づいていたマチヤを本当の親友として、あらためて認識した。そのころ、アーサーは足の手術をおえ、別荘にもどっていた。リーズもまた医者にみてもらったが、3歳の時の声帯の傷は残っているが、声が出ないはずはないという。ミリガン夫人はそこで、毎日リーズを湖のほとりまでつれていき、発声の練習をさせていたが、どうもうまくいかなかった。ちょうどその時、ミリガン家の別荘さがしにつかれたレミたちが、そこをとおりかかった。こんな時こそ、とレミはお師匠さんの教えから、ハープをひいた(朝の光金に銀に……ぬらしてのいつものやつ)。それが、近くのリーズにもきこえ、彼女はかけ出した。そして思わず「レ……ミ」と叫んだのだった。マチヤと三人で再会をよろこんでいる時、そこにミリガン夫人が現れる。もうすべての旅は終った。

欄外記事  レミが「レミがいい」といったら、マチヤは、「木曜の夕方、『レミごはんよ』というと人間のレミと牛のレミがごっつんとぶつかる」といった。すると「この仔牛が大きくなるころは、レミはロンドンでくらすんですものだいじょうぶ」とバルブラン夫人はにこやかにいった。アーサーはもうレミがくるとよろこんで、ずっとむかしに卒業した「ガロンヌ河のほとりにガストンという未飼がすんでいました」を暗誦したりした。

2001年補記馬車でシャバノン村を離れるレミに手を振るママは、「さようなら、わたしのレミ」とつぶやくのである。
第 51 回 新たな旅立ち
放映日1978.10.1
脚本山崎晴哉 原画大坂竹志/小柴国光/伊藤幸松 動画前田順子/佐藤由美子/関三恵子/新木寿子/沼憲子
仕上山名公枝/曽根由貴子/萩原澄恵/池内道子 美術男鹿和雄
背景青木勝志/石垣努/工藤美由紀/大野広司 進行本間一行
1981年梗概(8/13 お盆)
 それは運命にもてあそばれた親と子の再会だった。石につまづきながらもあるいてきた旅は、もう終った。レミはそう思った。別荘にもどってアーサーとも再会をよろこんだ。その日の夕食には、ミリガン夫人は、テーブルに、ビタリスの席もつくり、バルブランママもロンドンによぶつもりであることを発表し、マチヤもミリガン家の兄弟としてむかえた。マチヤは涙を流した。季節はもう冬真近かだった。彼らはアーサーの歩行訓練を手伝った。そして雪合戦、ソリなどを楽しんだ。レミは、マチヤのうれしい顔がなによりうれしかった。ある吹雪の日、レミは思い出していた「お師匠さんが死んだのも、一代目ジョリクールが、ゼルビーノ、ドルチェが死んだのもこんな吹雪の日だった。でももう旅は終ったんだ」。しかしマチヤは、言う「どうもちがうんだ」。春になった。ある日アーサーはとうとう一人であるいた。そしてその一週間後リーズは、おばさんのいるドルーズィにかえっていった。悲しい別れではなかった。リーズは、また会うときは歌を十(とお)も憶えてくると約束した。そして一週間後別荘は、ロンドンへの帰り仕度でおおわれていた。そんな時マチヤは二人だけでと、レミをさそって山に登った。山でマチヤは言った。「このままこんなしあわせの中でくらしていいのか。本当にミリガンさんもアーサーも好きだけど、でもこんな大人の作ってくれたしあわせの中で生きてていいのか。おれたちは一人前になろうとして旅に出て一人前に近い半人前になったんじゃねえのか。」「うん、ぼくも前に思っていたしあわせほどしあわせじゃないような気がするんだ。」「そうだろう。……旅にまた出るんだ」。その時レミはお師匠さんを見た気がした。「男はいつか一人で生きていかねばならん」。そしてはっきりビタリスの声を聞いた。「やっと気づいたようじゃな。レミ。今ひなどりが親のもとを離れる時じゃ」。レミはミリガン夫人に、バルブランママに、リーズに手紙を書いた。「何もいわず旅に出てすいません。ぼくらは、もっと大きく生きるために旅に出ます……(よくおぼえてません)」。新たな旅立ちである。そしてその10年後、マチヤは、バイオリンのショパンといわれるほどの天才バイオリニストとしての名声を得た。レミは若き法律家となって、そしてリーズと結婚した。もしぼくらが旅に出るとき、あのビタリスの声を聞くかもしれない。「前へ進め!」

◆リンク集、およびおことわり等

(2001-12-05)  本ページトップで、「『家なき子』について大々的にあつかったページがあまりない」などとえらそうに書いていましたが、出崎統や渡辺岳夫などに優れて研究的なページがありました。出崎統に関しては、あまりにディープで、ふつーにアニメを見てきた私などが何をコメントするでもないほど高レベル。渡辺岳夫のファンサイトも、『家なき子』が実際の劇伴とは別に歌詞付きで存在しているようです。サイト主はプロの音楽家でいらして、分析も専門的。敬意を表してリンクたてまつりまする。

なお、上のリンクの方々(東京ムービー以外)は、著作権について厳しく自己を律せられ、例えばアニメの画像などは一つも載せて居られない。私としては、ふつうの文献や画像の引用と同様なキブンで、(1) 出典を銘記する、(2) 著作権者を銘記する、この2点を守った上で「無断」引用してます。(引用は無断で---著作権者に断わらず、行って構いません)。勿論、しかるべき削除要請があれば削除します。要は、

『家なき子レミ』や安達ゆみの『家なき子』と混同されないように、

直感的にわかるように、という趣旨で画像を載せているのですので。なお、本サイト(sinet 、ac.jp 上にある)は営利目的ではありませんし、広義の研究目的です。

まー、考えてみると、このページの主眼は、「『家なき子』に感動した高校生が、毎回あらすじを400字でまとめてた」ってことなんだなあ。

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[補記 2005-07-11] 先日、貸本漫画を読んだのだが、こんな話であった。生後、両親が死に、兄と分れて養子に出された少女。養父母も亡くなり、最終的に孤児院に預けられる。15歳ほどに成長し、すでに一生を孤児教育に生きようと決心している。決心も束の間、生き別れになっていた兄の養父母先が大変な金持ちで、良い人で、その養父母・兄が少女を見付け、養子になるように勧める。少女に多少の葛藤はあるが、その養子になってハッピーエンド。

そりゃないだろう、と思う。この60年代の貸本漫画のリアリズムに、私は戦慄する。もちろん、そりゃ楽な道を選ぶのが人間だが。

これを読んで、無性に『家なき子』が見たくなったのである。ビタリスがリミガン夫人の養子の申し出を断わる場面である(第17回「さようなら白鳥号」)。

それで、久しぶり(といっても4年弱だが)に、夜とか寝る前とか使って、全部見てしまった(笑い)。

後半のほうでの杉江慧子が脚本の回のマチアは、それまで育んできたレミとの友情や真剣さと違って、すこしお調子者的な性格が強調されすぎているように思われた。山崎晴哉が最後2回分を担当するが、理想のマチヤに戻ってくれる。

原作本もすこし読みなおした。が、菊池幽芳訳は、必ずしも完訳ではないようですね。福永武彦訳(河出書房新社文庫)、鈴木三重吉訳(角川文庫)などと少しだけ比較した程度なのですが。で、原作と本アニメの違いについて、私も多少間違っていました。あまり真剣ではないが、『家なき子』モノの書籍も、コレクションしているので、ちょっとこのへんについては、いつか調査しておかねばなるまいな。




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