おろち初出.楳図かずお.半魚文庫

『おろち』初出書誌

Last update Version 2008-5-9


第1話 姉妹  (第1回)
[初 出] 1969年25号(6月15日号)
[ページ] 全17頁(4色1頁1色16頁)
[前アオリ] 大パワー連載第5弾!! 人間の心の奥底にひそむ、恐怖とロマンの世界を描く、異色大作!!
○吹きすさぶ風とともに、舞いおりた美少女!! ほほえみの陰にかくされた、恐るべき心!!
[楳図先生より] しばらく、少年物から遠ざかっていましたが、長い間の構想がみのって、サンデーに全力投球をします。主人公は女の子ですが、きっと、きみのような少年にも、かわいがってもらえると信じています。
[担当記者より] 先生は、大きなスケッチブックに『おろち』のアイデアを、毎日、どんどんかきこんでいる。その意欲に、記者のほうがタジタジ。話題をよぶ傑作になることは、まちがいないと思う。よろしくご愛読を!!(白井記者)
[後アオリ] "18"にどんな秘密があるのか?! 姉妹の狂乱は、何を意味するのか!? 意外な展開の次号をまて!!
[備 考]


第1話 姉妹  (第2回)
[初 出] 1969年26号(6月22日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 鬼才の意欲作に、はやくも大反響!!
○美しい姉妹をとりまく黒い影!! "18"のナゾに、おろちはせまるが……!?
[前号まで] ある激しい嵐の日、大きな邸宅に、ひとりの美少女がおとずれる。この大きな屋敷には、エミ、ルミという美しい姉妹がいた。このふたりに、美少女は"おろち"と名のった。ふしぎな、ふしぎな少女だった。そしておろちは、この姉妹の黒い秘密をかぎつけるが……!!
[後アオリ] ルミをぼう然とさせた母の遺言とは!? また、おろちをも恐怖におとしいれた、その死顔は!?
[備 考] 本号にかぎり登場人物の紹介記事がある。
○おろち……このものがたりの主人公。美少女で、ときどきふしぎな動作をする。右手の白いほうたいが、神秘的なかんじ。
○ルミ……大きな屋敷に住む姉妹の妹。おろちがサラをわり、破片を18まで数えると、狂乱した。
○エミ……美しい姉妹の姉。妹と、たいへん仲がいいが、何か秘密をかくしている。


第1話 姉妹  (第3回)
[初 出] 1969年27号(6月29日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 少女の読者にも大人気の異色ロマン!!ドラマは、いよいよ最高潮!!
○母の遺言に、がくぜんとするルミ!! いま、龍神家の黒い秘密が、あばかれようとしている!!
[前号まで] 大きな屋敷に美しい姉妹、ルミとエミが、暮らしていた。そこを訪れた、ふしぎな美少女"おろち"は、この家の黒い秘密をかぎつけた。龍神家には、恐ろしい血が流れているのだ。18歳になると、みにくい顔になるという!! ふたりの母は、驚くべき遺言をした。
[後アオリ] のろわれた血でありながら、ひとり平然とするルミ!! 母の遺言とは!? 大波乱の次号を待て!!
[備 考]


第1話 姉妹  (第4回)
[初 出] 1969年28号(7月6日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 人間の心理をえぐる、問題作!! ルミの口から語られる母の遺言!! いま、美しい姉妹の運命は、大きく変わろうとしている!!
[前号まで] ふしぎな美少女"おろち"がまよいこんだ、龍神家の姉妹、エミとルミは、のろわれた血をうけていた。18歳になると、からだがくずれ、みにくい顔になっていくのだ!! ふたりの母は、その犠牲となり死んだ。ルミをぼうぜんとさせる遺言を残して!! それは…!!
[読者コーナー等]
○こわいけど、バツグンのおもしろさに、毎週、必ず読みます(北海道 山中幸一)
○どっちが先に読むかで、ねえさんと、いつもケンカします!!(愛知県 横河誠一)
○『おろち』を読むと、弱い女の子も、つよーくみえるんだ!!(東京都 高峰英一)
○私の学校では『おろち』が大人気で、サンデーファンが倍増です!!(千葉県 林典子)
[後アオリ] 焼け火ばしをにぎり、妹にせまるエミ!! 深夜、龍神家に破局がおとずれるのか!? 待て、次号!!
[備 考] 【単行本扉】


第1話 姉妹  (第5回)
[初 出] 1969年29号(7月13日号)
[ページ] 全24頁
[前アオリ] かおり高きロマン!! 血もこおる恐怖!! 24ページにみなぎる、人間の愛と憎しみ!!
○のろわれた血に狂う、エミ!! やさしい妹ルミに、まっかな焼け火ばしがせまる!!
[前号まで] ふしぎな、美少女"おろち"がフラリと訪れた龍神家は美しい、エミとルミという姉妹がいた。この龍神家には恐ろしい血が流れていて、18歳になると、みにくく顔がくずれていくのだ。だが、母の遺言によると、妹のルミは、もらわれた子だった。ひとり龍神家の血をひく、エミは!?
[読者コーナー等]
○美しい姉妹と美少女おろち!! 幻想的で、魅力たっぷりだ!! (高知県 西条隆一)
○おろちの右手の包帯が何を意味するのか、クラスの話題です!! (東京都 和田英道)
○おっかない文字がたくさんかいてあるので、毎週たのしみです!!(宮崎県 田本浩)
○恐ろしい話なのに、優雅で、ざんこくでないので好感がもてる!!(東京都 加藤勉)
[担当記者より] 先生は、週刊誌の連載はサンデーだけだが、ひとつの作品に、じっくりと日数をかける。『おろち』のアイデアに一週間もかけ、まわる喫茶店は、一日に十数軒にもなるよ。
[後アオリ] 顔の美しさゆえの、大きな悲劇!! 人間のみにくさに、なぜか、おろちは、さびしかった!!
[備 考]


第2話  (第1回)
[初 出] 1969年30号(7月20日号)
[ページ] 全21頁(4色1頁1色20頁)
[前アオリ] しあわせうすい少女、千恵が、やっとつかんだ、ひとにぎりの幸福!! だが、それも…!!
[読者コーナー等]
○一コマ、一コマに熱意が感じられる。がんばれ、楳図先生!!(神奈川県 安藤正義)
○人間の心理が、格調高い画面に、みごとに描かれている!!(熊本県 伊藤康弘)
○おろちのふしぎな動作がぼくをひきつけ、毎週、興味ぶかい!!(福岡県 戸田真人)
[後アオリ] 信じられないことば!! 千恵は、突然の少女の出現に、ぼう然とした!! このことばの意味は!?
[備 考] 4色カラーの扉絵あり。


第2話  (第2回)
[初 出] 1969年31号(7月27日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] ふしぎな美少女おろちに、人気集中!!
[前号まで] 千恵は生れたときから、不幸な少女だった。母は、ひどいまま母。父は酒乱で、学校にもろくに行けなかった。それでも、千恵は美しく育ち、結婚し、やっとしあわせをつかんだ。だが、夫はガケから転落死した!! 半狂乱の千恵に、「夫を生きか返らす。」とふしぎな声が……!?
[読者コーナー等]
○ゾクゾク、ワクワク、毎週楽しみで、いちばん先に読みます!!(青森県 戸狩勇一)
○異色ということばがぴったり!! 少年まんがの傑作だろう!!(長野県 久保田隆)
[後アオリ] おろちの努力もむなしく、鮮血とともに飛び散った死体!! だが、墓場からのうめき声は何だ!?
[備 考]


第2話  (第3回)
[初 出] 1969年32号(8月3日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 500万読者を魅了して、おろちの人気最高潮
[前号まで] 不幸な少女千恵は、逆境にもめげず、美しく成長し、しあわせな結婚をする。だが、運命は千恵につめたく、最愛の夫は転落死してしまう。なげき悲しむ千恵のもとに、おろちがあらわれ、夫を生きかえらせるという。おろちは、人形に、自分の血をふきこむが失敗する!?
[読者コーナー等]
○ぼくの学校に、右手に白い包帯をまいた女の子があらわれた!! (東京都 吉池信夫)
○16ページでも、その読みごたえは、100ページ以上だと思う!!(岩手県 海野影)
[後アオリ] 執念が、男を地獄からはいあがらせた!! が、呼べど叫べど、出ない声。野犬のキバが鋭くせまる!!
[備 考] 【単行本扉】(ただしおろちの看護婦姿のみ。背景の「手」は単行本化の際に、追加された補筆頁となる)


第2話  (第4回)
[初 出] 1969年33号(8月10日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 夜の墓地に起った、信じられぬ世界!! 必死の叫びは、千恵にとどくのか!? 血もこおるドラマ!!
[前号まで] 夫の事故死に、なげき悲しむ千恵のもとに、おろちがあらわれ、「夫を生きかえらせる。」と約束する。おろちは、夫そっくりの人形をつくり、自分の血を注ぎこむが、失敗する。だが、そのころ墓場では、棺おけをつき破り、ひとりの男が……!!
[担当記者より] きみたちとおなじように、先生も25日、26日と夏休みをとり、アシスタントの人たちといっしょに、湯河原に行った。先生の泳ぐ時の姿をみて、記者はびっくり!! 先生の右手に、おろちのように白い包帯がまいてあったのだ!! きみもやったら?
[備 考]


第2話  (第5回)
[初 出] 1969年34号(8月17日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 墓場からはいでた男が、必死に語りかけることは……!? 意外な真相がときあかされていく!!
[前号まで] 不幸な少女、千恵は、美しく成長し、平凡な結婚をした。だが、夫はガケから転落死する。悲しむ千恵のもとに、ふしぎな少女、おろちがあらわれ、夫を生きかかえらすという。だが、それも失敗に終ったとき、ひとりの男が、墓場から生きかえり、苦しい息の下から……!?
[読者コーナー等] おろち似顔絵コーナー
○東京都 関根千恵子 おろちの、いちばんカッコいいポーズをかいたが、線があらすぎる。
○兵庫県 荒垣秀 構図にくふうがみられ、意欲的だ。絵はまだまだだ。
○千葉県 高津陽造 ベタがきいている。でも、おろちの顔には、あまり似てないよ。
[後アオリ] 夫のよみがえりを、あれほど願ったのに、なぜか逃げる千恵。男の顔に、ぶきみな憎悪がひろがる!!
[備 考]


第2話  (第6回)
[初 出] 1969年35号(8月24日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 恐怖とロマンの世界をえがき、全読者注目の異色作!!
○そんなばかな!! 他人のそら似!? 千恵は、なぜか恐怖にふるえるが……!!今週も衝撃の連続!!
[前号まで] 夫が転落死し、悲しむ千恵のもとに、おろちがあらわれ、生きかえらせるという。千恵は、とりあわない。おろちは、自分の血を人形に注ぐが、人形にはきかず、墓場の千恵の夫にきいたらしい。男はくさったまま生きかえり、口がきけない。ところが、千恵は……
[読者コーナー等] 似顔絵コーナー。サンデーでしか読めない楳図作品に、夏休みの話題集中!!今週の似顔絵は、恐怖の表情の特集!!
○新潟県 吉川久雄 ムードはよくでているが、アゴがながすぎるのが欠点。もう一息。
○東京都 藤田修 よくまとまっている。目の部分を丁寧にかけば、いうことなし。
○埼玉県 曽山泰彦 ベタを生かしたくふうはいいが、顔のアンバランスに注意。
[後アオリ] 千恵に届けられた小包み一つ!! その衝撃の表情は、いったい何を見たのか!? 恐怖の頂点の次号!!
[備 考]


第2話  (第7回)
[初 出] 1969年36号(8月31日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 狂乱の千恵のもとに、届けられた品!! もしや、さらわれたジュンに関係あるのでは!?
[前号まで] おろちは、夫をなくし、なげき悲しむ千恵のために、男を生きかえらせる。だが、ふしぎなことに、千恵は再婚し、男に殺されるとおびえている。そして、男は千恵の家をさがしあて、千恵の子どもの、ジュンをさらってしまう。そしていま……!!
[読者コーナー等] グーンと上昇する人気!! 『おろち』は、雑誌界の話題の焦点だ!! 白い包帯がおおはやり!!
○似顔絵コーナー
○静岡県 相田昌之 ずいぶん、陽気そうなおろちだ。ムードを、もっとつかんでほしい。
○東京都 田野徳夫 よくかいている。首のながい部分がよけい不気味だ!! 線をもっとこまかく。
○東京都 高橋久男 黒をよく生かしている。だが、かわいらしさも、だすように。
[後アオリ] 毒矢を片手に、車を走らせる千恵!! 憎悪と殺意が、はげしく交錯する、大波瀾の次号!!
[備 考]


第2話  (第8回)
[初 出] 1969年37号(9月7日号)
[ページ] 全17頁(4色1頁1色16頁)
[前アオリ] 恐怖! 幻想! ロマン! 鬼才がえがく、異色ドラマ!!
○「殺してやる!!」この千恵の殺意は、いったい……!? また、さらわれた、ジュンの身には……!!
[前号まで] 千恵の夫は、ガケから落ちて死んだが、おろちの働きによって、よみがえった。そしてなぜか、再婚した千恵に、復しゅうをしようとしている。そのてはじめとして、千恵の子、ジュンをさらった。狂乱した千恵は、毒矢を片手にとびだしていったが!?
[読者コーナー等] 似顔絵コーナー
○福井県 居関良智 絵は雑でまだまだ。しかし、構図を考えぬいている点がいい。
○大阪府 藤本信也 大胆に顔をアップにしたが、目の部分がいきていない。
○大阪府 井上隆由 元気のないおろちだ。もっといきいきと、かいてほしい。
[後アオリ] 必死に逃げるジュン!! その後ろには、シデ虫の群れが…!!来週号は驚くべき完結編だ!!
[備 考] この扉絵は最高! 掌からこぼれた木の葉がコウモリに。


第2話  (第9回)
[初 出] 1969年38号(9月14日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 復しゅうにおびえる千恵!!まきぞえにされたジュンの身には…!! 男は行動を起こすが……!?
[前号まで] ふしぎな少女おろちは、千恵のたのみにより、彼女の死んだ夫を生きかえらす。だが、ふしぎなことに、千恵は再婚し、夫を恐れている。男は、千恵に殺意をもってせまり、千恵の子ども、ジュンをさらってしまう。海べの倉庫の地下室のジュンの身には…!?
[読者コーナー等] 似顔絵コーナー
○新潟県 吉川久雄 ぶきなムード満点。細部を、もっとていねいにかくこと。
○熊本県 蔵原俊一 もっと、神秘的なムードを出してほしい。バックはいい。
○愛媛県 荻山朝雄 恐怖の表情を、よくつかんでいる。だが、線はもっときれいに。
○広島県 中山英子 ていねいな絵だが、顔が似ていない。もっと、顔にまるみをもたせるといい。
○埼玉県 太田建樹 すこし若いおろちだが、まあいい。バックも、くふうしている。
[後アオリ] 骨とともに、愛もにくしみも消えた!! おろちは、最後の願いをこめながら、フタをあけていった!!
[備 考] お便りコーナーの「新潟県 吉川久雄」は2度目の採用。


第3話 秀才  (第1回)
[初 出] 1969年39号(9月21日号)
[ページ] 全19頁
[前アオリ] 奇才がえがく、異色ロマン!! 第三話、待望の登場!!
○若者の複雑な心理を、鬼才がみごとに描く力作!! 待望の第3話が登場!!
[後アオリ] 優に勉強を強要する母!! この態度の急変の意味は…!? ぶきみなムードで、早くも大波乱!?
[備 考]


第3話 秀才  (第2回)
[初 出] 1969年40号(9月28日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 話題大ふっとう!! ロマンと恐怖がおりなす、異常心理ドラマ!!
○急変した母の態度!! しあわせだった立花家に、黒い影がしのびよっていく……!!
[前号まで] 祭りの混雑のなかで、おろちは、ひとりのかわいらしい赤ちゃんを見つける。おろちは、この赤ちゃんの一生をみきわめようと、決心した。この子は、立花家のひとりむすこ優だった。ある日、この家に強盗がはいり、優を傷つけた。その後、母親のようすがおかしくなった。
[後アオリ] 突然しめ出された優!! 母の狂乱の原因は!? この親子をめぐるナゾは、ますます深まる!!
[備 考] 本号から、コマ番号が廃止され、コマ内のページ記載になる。


第3話 秀才  (第3回)
[初 出] 1969年41号(10月5日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] あの、いまわしい事件をさかいに、不幸な道をたどる立花家!! さらに不吉な影が……!!
[前号まで] おろちは、立花家のかわいらしいひとりむすこ、優の一生を見つめようと決心し、観察を続ける。ところがある日、立花家に強盗がはいり、優の首をつきさしてしまう。その後、母の態度が急変し、優に勉強ばかり強要する。その結果、優は、だんだんいびつな人間になっていく!!
[読者コーナー等]
○しんけんに読むので、まわりの雑音が聞こえなくなり、おろちの心にはいっていく。奈良県 家田雅史
○ぼくはおろちの大ファンです。"おろち"だけきりとって、一冊の本にして、だいじにしています。群馬県 関根弘満
○こんなおもしろい話をつくる楳図先生に、びっくりしています。おろちがテレビ化すればいいと思います。群馬県 桑原康透
[後アオリ] 突然、優の前にあらわれた、あのいまわしい過去のすべて!! だが、この驚きはいったい…!?
[備 考]


第3話 秀才  (第4回)
[初 出] 1969年42号(10月12日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 偶然、優の目にとびこんできた、あの恐ろしい事件!! なにか、新事実でも……!?
[前号まで] おろちは、立花家の長男、優の一生をみきわめようとしていた。ところが、立花家に強盗がはいり、優の首をつきさす。それから、立花家の空気は暗くなり、母親はヒステリックになり、父親は無気力となっていた。優は、勉強ばかりさせられ、孤独な少年になった。
[担当記者より] 9月14、15日の連休を利用して、先生は箱根へ出かけた。車ぎらいで有名な先生は、いつも、駅から近い旅館をとる。山の静かな宿で、おろちのこれからの構想をバッチリねったので、4話、5話が待ちどおしいぞ。
[後アオリ] ああ、かわいそうな優!! 乱れに乱れた心で、歩きつづける優!! おろちよ、優をすくってくれ!!
[備 考]


第3話 秀才  (第5回)
[初 出] 1969年43号(10月19日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 小説よりおもしろいと、全国で話題の中心!!
○踏みきりにも気づかず、歩く優!! こうまで、優を変えたものは!? ナゾはますます深まる!!
[前号まで] おろちは、立花家の長男優の一生をみきわめようと思い、観察を続けていた。だが、平和な一家に強盗がはいり、優の首をつきさした。その後、母の態度が一変し、優を勉強ぜめにする。首の傷に疑問を持った優は、そこにナニかがかくされていると思った。そしてある朝……!?
[読者コーナー等]
○ぼくのママは、やさしいけど、優のママはきちがいみたいで、優がかわいそう!! 東京都・小田とおる
○おろちのような女の人が、ぼくの宿題もやってくれるといいんだけどなあ。神奈川県・藤井善明
○なんだか優がかわいそうで、読みながら、泣いてしまいました。高知県・山野良江
[担当記者より] 今週の下段柱の記事に注目!! 楳図先生の総特集だ。はじめ、テレ屋の先生は、そんな記事はいやだといっていたが、とうとうあきらめ、取材に協力した。でもウソをかいたら、白井記者を"おろち"のなかで殺すと、きょうはくした。命がけの記事ですから、愛読を!!
[後アオリ] おろちの視線も知らず、級友の時計を盗んだ優!! この意外な行為は、いったい何を意味するのか!?
[備 考] 【単行本扉】。今号の下段記事の中で、アシスタントの紹介があり、記された人々は長谷川和成、増谷啓子、木村正男、内田珠江の四名のみだが、作中の「成績テスト」の一覧には、七位に浅原一義がいる。浅原は『まことちゃん』『わたしは真悟』等でもアシスタントを務めた楳図プロのベテラン。


第3話 秀才  (第6回)
[初 出] 1969年44号(10月26日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 回をおうごとに高まる人気!! いよいよ最高潮!!
○信じられない光景!! 秀才、優が友人の時計を盗むとは!! この真相は、意外にも……!?
[前号まで] おろちは、立花家の長男優の一生をみようと決心した。だが、優が強盗にさされて以来、立花家は暗く、母親は異常に、勉強をしいるようになっていった。こんな勉強ぜめを、優はいやがっていたが、N町にいってから、きちがいのように勉強をしだした!! そして……!?
[楳図先生より] ぼくの作品は、ドンデン返しがあるので、ネームにひと苦労です。バレてはいけないことが、多すぎるからです。ある読者から「おろちは、まとめて読むと、またおもしろい。」という手紙がきました。みんなも、終ったあと、もう一回、読んでください。
[担当記者より] 目白駅の売店は、さすが先生の地元だけに、サンデーの売れゆきがはやい。ある日先生が電車を待っていたところ、一冊だけのこっていた。しかもその一冊が、ななめにまがっていたので、先生は近づき、まっすぐに直した。先生がサンデーを思う心に記者は感激!!
○"おろち"の人気が急上昇のため、原画をみせてほしいと、連日、読者が来社してくれる。ペンタッチのわかる、精密な原画をみて、読者から感嘆の声。熱気あふれる先生の迫力が、こうして直接、読者に伝わっていく。
○先日、先生のおかあさんが奈良から上京した。先生によく似た顔で、きびきびした人だ。ひっこしの整理のために、みえたのだが、さすがの先生も、このおかさんには頭があがらず、なんでもハイハイと、たまの親孝行をしていた。
[後アオリ] 突然、苦しみだした優!! まさか、コーヒーが原因では…!! 波瀾と衝撃の完結編を待とう!!
[備 考]


第3話 秀才  (第7回)
[初 出] 1969年45号(11月2日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] サンデー大独占!! 楳図先生の大ロマン!!
○母親の特訓にも耐え、秀才になった優!! だが、突然おそった、この苦しみは、いったい……!?
[前号まで] おろちは、立花家の長男優の一生を見つめていた。だが、立花家に強盗がはいり、優の首をつきさす!! その後、母親の態度が変わり、優を勉強ぜめにする。優は自分を刺した男の名を偶然知り、それから態度が急変した。勉強好きになり優秀な成績をあげ、有名大学受験をめざすが…!?
[読者コーナー等]
○ぼくの家族は、だいの"おろち"ファンで、ぼくより先に、だれかが読んでしまいます。高知県 渡辺利栄男
○優の表情がすごくいい!! とくに目がいきている。これから、ずっと、読みつづけたい。鳥取県 川本敏幸
[担当記者より] 先生の仕事場で、夜、不気味な音が!! となりのへやの壁にかけたハンガーが、カタカタと鳴りだした。アシスタントの長谷川くん、顔をまっさおにして、先生、あの音…!! 先生すこしもさわがず、「落ちつけよ、地震じゃないか。」このひとことで、みなひと安心。
○今度はいった、アシスタントの内田さんは、料理の名人。毎日、昼、夜の二食を作っているが、同じものは二度と作らない!! あまり食欲のない先生も、よく食べるようになり、楳図プロ全員、どんどんふとるのでは!? 食欲の秋、みんなも負けずにガンバレ!!
[後アオリ] 初めてとかれた右手の包帯!! おろちのやさしさで、立花家に再び笑顔がよみがえるだろう!!
[備 考]


第4話 ふるさと  (第1回)
[初 出] 1969年46号(11月9日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] サンデー独占の大ロマン!! 「おろち」楳図先生の代表作!!
○ふるさと……このなつかしい村を、正一はあとにしたが……!? またまた話題の第4話登場!!
[楳図先生より] 第3話『秀才』は、どうでしたか? 優のやすらかな寝顔をかき終えて、ホッとしています。現在は、たいへんな受験戦争です。みんなも毎日たいへんだとおもいますが、あまり勉強にふりまわされないで、心身とも健康な人間になってほしいと思います。おたより、待っています!!
[担当記者より] "おろち"――このふしぎな少女にかける、先生に熱意はすごい。高田馬場の古本屋街にでかけ、参考資料になる本をさがしまわっている。深夜、それをもとに、記者と読書会。意見をぶつけあいながら、作品ができていく。第4話も、おもしろさバツグン!!
○芸術の秋。各大学、高校とも文化祭ブーム。会社や楳図プロにインタビューに、愛読者が連日みえる。各校に"おろち"コーナーができるかもしれない。もし、きみが、にいさんやねえさんの学校にでかけ、"おろち"の顔をみかけたら、とっても、しあわせ者だぞ。
[後アオリ] まさか!? 病院にいるはずの正一が……!! おろちのこの驚きが、怪事件の幕あきになろうとは!?
[備 考] 【単行本扉】


第4話 ふるさと  (第2回)
[初 出] 1969年47号(11月16日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 大ケガの正一が車内に!! はやくも、おろちは、ふしぎな事件にまきこまれていくが……!!
[前号まで] 杉山正一は、ふるさとを捨て上京した。しかし、ヤクザな生活に落ちていった。ある日、ケンカにまきこまれ、大ケガをして病院に運ばれた。正一が思うことはふるさとのことばかり。その現場を目撃したおろちは、正一のふるさと、中瀬村に行こうと思ったが…
[楳図先生より] 夏の疲れがでたようで、すこしバテ気味です。でも"おろち"に負けてはいられないので、右手に包帯をまいて、ペンをはしらせています。そのせいか、ペースは快調、仕事はどんどんはかどります。宿題に困ったら、きみもまいてみたら?
[担当記者より] アシスタントの内田珠江さんは、さがし物の名人。資料なども、すぐさがしだす。珠江なので、みんなからタマ、タマと、ネコのような愛称で呼ばれ、そのたびにハイハイと大活躍。この生活にもようやく慣れ、バックの絵にも熱がはいってきた。
○アシスタントの増谷啓子さん、楳図プロへくる途中で胃ケイレンをおこした。まわりの人にかいほうされ、病院へ。もっともこの胃ケイレンは、食べすぎが原因で、みんなから、あれだけ食べりゃ、ふつうの人間なら死んでいるといわれ、プンプンだった。
[後アオリ] 鋭い悲鳴!! 倒れた信男!! 何か異様な村の全ぼうが、おろちと正一を押しつつむ!! 興奮の次号!!
[備 考]


第4話 ふるさと  (第3回)
[初 出] 1969年48号(11月23日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] おろちの身辺に起こる変事!! 倒れた信男に、いったい何が……!? 衝撃の大ドラマ!!
[前号まで] おろちは、ふとしたことから、中瀬村出身の杉山正一と知りあった。正一はふるさとを捨て、町でグレていた。ある日、正一大ゲンカをして、重傷をおった。だが、ふるさとに帰りたい一念で、正一はおろちと、中瀬村に帰る。村は、一見なんでもないようにみえたが……。
[読者コーナー等] いまぼくは、おろちのテーマソングを、いっしょうけんめい作っています。宮城県 山口喜一
○このまんがは、おもしろさと構成のみごとさで、史上不滅のまんがとなるだろう。東京都 北上洋
○ハレンチ俗悪まんががはびこるなかで、おろちの魅力はすばらしい!! 高知県 富永幸男
[後アオリ] はっしとぶつかりあう四つの瞳!! この敵意に満ちた異常な少年のナゾは!? 波乱高まる次号!!
[備 考] 本号より、編集が高柳義也から木下賀雄に交替。


第4話 ふるさと  (第4回)
[初 出] 1969年49号(12月1日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 本誌独占の楳図作品
○この不気味な少年の眼光が、鋭くおろちを射る!! いったい、この異様な光景は……!?
[前号まで] おろちは、中瀬村に杉山正一とともにきた。この村は、昔と変っていないようだったが、どこか変だった。正一はひさしぶりに友人たちにあうが、みんな何かにおびえ、ひとりは変死した。その現場にいた、ひとりの少年……おろちはこの少年のあとをつけるが……!!
[読者コーナー等] ぼくは、上京して働いていますが、おろちの『ふるさと』を読んで、いなかを思いだしています。青森県・戸海清一
○16ページで、こんな読みごたえのあるまんがは、全雑誌のなかで、サンデーの"おろち"だけです。東京都・犬山政男
○いま学校で、おもちの年齢が話題になっています。ぼくは、三百歳くらいだろうとおもうのですが、どうかなあ!? 神奈川県・山脇吉彦
[後アオリ] 第二の犠牲者に、静まりかえる村!! だが、その静寂を破って、ガケくずれが!! この少年の正体は!?
[備 考]


第4話 ふるさと  (第5回)
[初 出] 1969年50号(12月7日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] サンデー大独占!! 楳図先生の異色ロマン
○深夜の村にひびく、ガケくずれの音!! この不思議な少年の目的は、恐るべきところに……!?
[前号まで] おろちは、杉山正一と中瀬村にきていた。正一のふるさとは、一見、平和そのものであったが、正一が帰って以来、怪事件が続いた。その背後にはいつも、正一のおさななじみだった良子(りょうこ)の子ども、新次がからんでいた。その良子も殺され、新次は、意外な行動に移った!!
[楳図先生より] 秋もすっかり深まり、もうことしもあとわずか……なんて考えると、仕事のことが気になり、あせってきます。私(わたくし)が元気なときは、おろちの顔もいきいきとしてくる。だから健康には、じゅうぶん気を使い、全力を"おろち"にぶつけていきます。おたより待っています。
[担当記者より] いま、新次の顔のすごさが話題になっている。おそろしいムードと、あどけない顔とがうまくかみあって、ジキル博士とハイド氏のようだ。アシスタントの人たちも、こわいこわいを連発している。この新次、まだまだ波乱をよびそうだ。
[後アオリ] 新次によって、ついに孤立化させられた村!! 不気味な子どもたちの円陣!! 恐怖の村の運命は!?
[備 考]


第4話 ふるさと  (第6回)
[初 出] 1969年51号(12月14日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] サンデーだけに全力投球する、楳図先生の異色ロマン!?
○子どもたちの円陣に、恐怖を感じる、おろち!! 奇怪な現象の正体は、いったい!?
[前号まで] 杉山正一はふるさとを捨て、町にきてグレていたが、ある日大ケガをする。思うことは、ふるさとの中瀬村のことばかりだった。おろちは、正一のかわりに村へくるが、途中、正一とであう。なぜ、大ケガの正一が……!? そんな疑問をよそに、村は恐ろしい事件が続発する…
[読者コーナー等]
○はじめおそろしかった"おろち"が、いまでは、アイドルになりました。島根県 中森慎一
○SFでも忍者ものでもない"おろち"は、新時代のまんがだ。楳図先生がんばれ!!東京都 木内良男
[担当記者より] 楳図プロに、毎日、おろちの激励文が、やまのようにおくられてくる。この異色まんがに、みんなすっかりしびれてしまったようだ。白い右手の包帯が、神秘的な美少女に、これからも、どんどんおたよりをください。
[後アオリ] 恐るべき破壊が続く!! 正一はふるさとの荒廃をくいとめようとするが……次号は恐怖の完結編!!
[備 考]


第4話 ふるさと  (第7回)
[初 出] 1969年52号(12月21日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] サンデー独占の楳図まんが、いよいよ最高潮!!
○正一の目の前で、無残に破壊されるふるさと!! そしていま、ついに重大な時をむかえた!!
[前号まで] 正一は、ふるさと中瀬村を捨て、町でグレて大ゲンカをし、重傷を負った。思いは、ふるさとのことばかり。「帰りたい、ふるさとへ!!」こんな正一を見て、おろちは中瀬村にでかける。だが、車中で、大ケガの正一と出会う。なぜ病人の正一が!? ふたりのまえで、村は恐ろしいできごとが続き……。
[楳図先生より] どうでしたか、第四話『ふるさと』は? みんなのふるさとも、だんだん変っていくのでは。自分の生れ育った場所――ふるさと。どんなに文明が進んでも、大切にしたいところです。私のふるさとは奈良県五条市。正月には帰ろうと思っています。
○いま、"アッと驚くタメゴロー"ということばが、はやっていますが、おろちも毎回、アッと驚く……にしたいと、いつも思っています。読者に新鮮な感動を届けたいものです。来週からの第5話『鍵』(ママ)、アッと驚く、楳図まんがにするつもりです。ご愛読を!!
[後アオリ] ふるさと―それは正一の胸のなかに、いつまでも生きつづけるだろう!!
○次週より期待の第5話「鍵」登場!! 意欲大作だ!!
[備 考]


第5話  (第1回)
[初 出] 1970年1号(1月1日号)
[ページ] 全18頁
[前アオリ] またも、驚くべき新シリーズ登場!! 増ページ!!
○団地のひねくれ鍵っ子がのぞいた、恐るべき事件!! 息もつかせぬ新シリーズ開始!!
[楳図先生より] 「鍵」(ママ)というタイトル、どうですか? 鍵には、さまざまな意味があります。家をあけるのに使う鍵がいちばんふつうですが、心の鍵、事件の鍵というと、すこしむずかしくなるのです。この第5話は、そのどっちかな? ひとりの団地っ子を読者とともにおっかけます。
[担当記者より] 夜食の時間になると、楳図プロではオデンが人気になる。高田馬場の駅前にでているオデン屋まで、大きなナベをかかえて行くのは、先生と記者の役め。あたたかい室内で、みんなでオデンをパクつくと、寒さもふっとぶ。先生の大好物はちくわぶだよ。
[後アオリ] うそつきが見た、信じられぬ光景!! 口もとの鮮血は何を意味するのか!? 早くも盛りあがる次号!!
[備 考]


第5話  (第2回)
[初 出] 1970年2号(1月4日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 目のまえにとびこんできた恐るべき光景!! あの恵美ちゃんが…!! うそつきは絶句する…が!!
[前号まで] おろちは、フラリと団地にやってきて、そこで渡辺ひろゆきという男の子と知りあう。この子は、みんなからうそつきとよばれ、団地でハナつまみもの、きらわれものだった。両親は、ともかせぎで、その留守の間、さみしくテレビをみて過ごしていた。そんなある日、窓ぞいにとなりのへやをのぞくと……!?
[担当記者より] 楳図プロでは、すばらしいステレオを購入した。仕事ちゅうも、レコードが流れ、効果満点だ。レコードも、民謡からポピュラーまでその数は100枚近い。いちばん新しいやつは、もちろん「ニャロメの歌」。一日何回もかけている。先生は、ケムンパスのファンだよ。
[後アオリ] あんなに約束したのに、おしゃべりなママがしゃべった!! 緊張と恐怖が、ぐいぐい高まる来週号!!
[備 考]


第5話  (第3回)
[初 出] 1970年3号(1月11日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 恐怖とロマンに新境地をひらく、楳図先生の野心作!!
○うそつきの必死の願いもむなしく、ママはしゃべった!! ドラマは、意外な展開をたどるが…!?
[前号まで] 団地にやってきたおろちを驚かしたのは、うそつきとよばれる子のいたずらだった。何をいうにも、うそばかりで、鼻つまみのきらわれ者だった。両親はともかせぎで、いつもひとりぼっちだった。そんなうそつきがとなりの恵美子(ママ)ちゃんが殺されるのを目撃した!!
[楳図先生より] みんなは、うそつきをどう思いますか? ひねくれた、いやな子どもだと思うかな? ぼくは、すこしやんちゃで、荒っぽいけど、こんな子どもは大好きです。おどおどした、弱い子どもはきらいです。このうそつきを、あたたかい目で、応援してやってください。
[担当記者より] この第5話『鍵』に対する、先生の意欲はすごい。この間も、近くの団地に行き、子どもたちの生活を観察した。だんだんコンクリートにとじこめられていく生活に、先生はすこし悲観的な表情だ。寒い冬、なるべく日光をあびて、強い元気な毎日を送ろう。
[後アオリ] もうだれにもたのまない!! うそつきは必死の防戦につとめるが、ぶきみなカギ音が!? 興奮の次号!!
[備 考] 本号では、「楳図先生より」と「担当記者より」の内容が逆に取り違えてあるが、正しい位置に直した。


第5話  (第4回)
[初 出] 1970年4^5号(1月18・25日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 現代の悲劇「鍵っ子」の問題を、鋭くえぐる話題作
○うそつきのいうことは、だれも信じてくれない!! 侵入者に、たったひとりたち向かうが……!?
[前号まで] おろちは、団地のきらわれっ子、うそつきを観察している。うそつきの両親はともかせぎで、いっつもひとりぼっち。そんなさびしさをまぎらわすために、うそばかりつく。そして急に、となりの恵美ちゃんが殺されたといいだした。だれも、うそつきのいうことは信じない…
[楳図先生より] あけましておめでとう。ことしはイヌ年だけど、"おろち"の年は何かな、なんて考えています。作者として、おろちへの愛着が、日に日に強くなっていきます。この作品だけに全力投球するので、ことしもご愛読を!!
[担当記者より] このうそつきの人気は最高潮。こんな弟がいたら楽しいなんて、投書もまいこんだ。うそをつくのはよくないけど、このファイトと、元気のよさを、みんなも、おおいにみならい、ことしもダッシュしよう。
[後アオリ] 必死に逃げこんだ地下鉄なのに!! うそつきにせまるふたりは、はたして殺人鬼か!? 波乱の次号!!
[備 考] 【単行本扉】


第5話  (第5回)
[初 出] 1970年6号(2月1日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 「鍵っ子」の心理をえぐって快調!!
○必死ににげるうそつき!! 追う、悪鬼の形相のふたり!! 地下鉄の車内に、緊張がみなぎる!!
[前号まで] 団地の鼻つまみうそつきは、毎日うそばかりついている。ある日、となりのへやをのぞくと、足の悪い女の子恵美ちゃんが、口から血をふいて…!! うそつきはまっさおになり、このことを両親に話すが、だれもとりあわない。そしてうそつきは、となりの夫婦に追われる!!
[担当記者より] 先生の仕事べやは、マンションの四階。この作品のような鍵で、出入りする。アシスタントのみんなは、この話がすすむにつれ、なんだかこわくなり、鍵を落さないように、細心の注意をしている。そのうち、夜になると、だれか侵入者が……!?
[後アオリ] 次週は増ページ!! アッと驚く逆転の完結編!!
○あっ、パパが通る!! うそつきの悲痛な叫びは、とどくだろうか!? 大波乱の完結編を待とう!!
[備 考] 本号の扉頁が着色され、総集編の扉になる。


第5話  (第6回)
[初 出] 1970年7号(2月8日号)
[ページ] 全18頁
[前アオリ] ついにつかまったうそつき!! その時、パパが…
[前号まで] うそばかりつくので、うそつきと呼ばれる男の子が、殺人事件を目撃した。みんなに知らせるが、だれもとりあってくれない。そして、うそつきはその犯人夫婦から追われる。必死で逃げるうそつき。両親をよそおい、追うふたり。ついにうそつきはつかまり、タクシーで連れさられる。だが、その時パパの姿が……!?
[楳図先生より] どうでしたか、第5話『鍵』は? みんなの手紙を読むと、うそつきのファンが圧倒的に多い。ぼくもうそつきが大好きです。これからも、まだうそをついてみんなをだますでしょうが、うそつきはきっとへこたれないでしょう。来週から始まる「ステージ」をよろしく。
[後アオリ] 話題のおろち第6話「ステージ」来週登場!!
○恐怖の経験も忘れたかのように、きょうもうそつきはいく!!
[備 考] 扉頁はなく、3頁目にタイトルが入る。


第6話 ステージ  (第1回)
[初 出] 1970年8号(2月15日号)
[ページ] 全17頁(1頁4色16頁1色)
[前アオリ] 吹きまくるおろち旋風!! 新シリーズ登場!!
○話題騒然の異色ロマン!! 待望の第6話登場!!
○平和な家庭をおそった、いまわしい事故!! それが、ひとりの幼児の運命を大きく変えようとは…!!
[楳図先生より] 毎日、多くの歌手やタレントが、テレビやラジオに登場します。いっけんはなやかな世界ですが、その苦労は大変なものらしいね。今週からの「ステージ」は、タレントを熱望している少年を描きます。その少年の異常な運命は……おっと、これから先は、あとのお楽しみだ!!
[後アオリ] 無惨にもしりぞけられた、佑一の悲痛な証言!! だがいったい、ひき逃げの真犯人は!? 波乱の次号!!
[備 考]


第6話 ステージ  (第2回)
[初 出] 1970年9号(2月22日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 未知のテーマに話題騒然!! サンデー独占の野心作!!
○『このおにいたんが、とうたんをひいた!!』裁判所でさけぶ佑一!!だが、判決は無罪…!!
[前号まで] 佑一のパパはひき逃げされ、その傷がもとで死亡する。佑一は、犯人を、おはようのおにいたんだといいはる。おにいたんとは、いつも見るテレビ番組のタレント、田辺新吾のことなのだ。田辺は犯行を否認し、裁判にもちこまれたが、佑一の証言はしりぞけられた!!
[後アオリ] あれほど芸能界をきらった佑一の、突然の変化!! 『歌手になる!!』のひとことの真意は!?
[備 考]


第6話 ステージ  (第3回)
[初 出] 1970年10号(3月1日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 全国で圧倒的人気の大ロマン!
○歌に対する異常な執着!!歌手を目指す佑一のねらいは……!? 意外なナゾはさらに深まる!!
[前号まで] 佑一は、二つ(ママ)のときに父をひき逃げされる。佑一はその犯人を、テレビタレント田辺新吾と証言するが、三歳児に証言能力はないとされ、田辺無罪となる。それから田辺は芸能界を引退し、佑一は、芸能界をけぎらいするようになった。そして、ある日急に……!?
[担当記者より] 「おろちのおもしろさは、二度も三度も読みたくなることです。ぜひ、一冊にまとめてください」こんな手紙が編集部にたくさん寄せられています。こんな容貌にこたえて、20日に「別冊少年サンデーおろち特集号」が発売される。「姉妹」と「秀才」の感激をもう一度!!
[後アオリ] 息をのみ返事を待つ佑一に、突然とびかかる猛犬!! いったい、何が起ったのだ!! 興奮の次号!!
[備 考] 【単行本扉】


第6話 ステージ  (第4回)
[初 出] 1970年11号(3月8日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 弟子入りを志願する佑一に、くいかかる猛犬!! こんなことで花田に面会できるのだろうか…!?
[前号まで] 佑一は三歳のとき父を失って、孤独な少年に成長する。学業はできず、特にスターの話題をけぎらいしたので、友だちもない。そんな佑一を、おろちは静かにみまもる。だがある日、佑一は歌手になるといい出し、母を捨て上京する。そして、いま売りだしのスター花田の家へ…!!
[担当記者より] 2月20日に発売された、別冊少年サンデー、おろち特集号は、すごい人気。いまさらながら、おろちの魅力におどろかされる。きみも、まだ買ってなかったらすぐ書店にいこう。定価140円だ。売りきれないうちに、早くね。友だちにも知らせよう。
○いま、爆発的な人気をあつめているおろちの記事が、週刊朝日(2月20日号)に紹介された。楳図まんがの秘密が、くわしくのっている。先生の写真もでているから、まだ顔をしらない人は、よく見てごらん。
[後アオリ] スターになるのはおれだけだ!! 佑一の手に、しっかりと握られたカミソリ!! その目的は……!?
[備 考]


第6話 ステージ  (第5回)
[初 出] 1970年12号(3月15日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 花田の弟子になりたい!! 佑一の決意が、ついにカミソリをとらせた!! 緊張のときがせまり…!!
[前号まで] 三歳のとき父をひき逃げされた佑一は、中学を卒業すると、母を捨て上京した。スター、花田秀次に弟子入りしたかったのだ。花田の自宅を訪問するが、猛犬に追いかえされる。そこで佑一は、花田が審査員をしている、"あなたもスターになれる!!"に応募するが…
[後アオリ] 次週、増ページでおくる、逆転の完結編!!
○人気スター、花田をおそう、突然の苦しみ!! いったい何が原因で!? 憎悪と恐怖の次号!!
[備 考]


第6話 ステージ  (第6回)
[初 出] 1970年13号(3月22日号)
[ページ] 全18頁
[前アオリ] 息もつかせぬ展開!! 大逆転の完結編!!
○…こ、声が…!? 人気歌手花田に、重大な危機が!!
[前号まで] 佑一は三歳のとき、父をひき殺される。中学を卒業すると、上京し、佑一の尊敬するスター、花田秀次の家を訪問するが、猛犬に追われる。だが、佑一は、花田が審査員をしている、テレビ番組に出場する。佑一の巧妙な策略で、競争者を落とし、花田の内弟子になるが…
[楳図先生より] 第6話「ステージ」はどうでしたか? 日本全国に、たくさんのスター予備軍がいます。スター、それは天上にかがやく星でしょうが、ファンを大切にし、毎日努力する。それが真のスターでしょう。スター予備軍がいたら、そこにも眼を向けてください。
[後アオリ] 異色巨編おろち、次週より新シリーズ開始!! 第7話「戦闘」!!
○年月をかけ、みずからの手で花田を裁いた佑一!! ステージへの栄光は捨てたが、安らぎがあった!!
[備 考] 扉ページはなく、開始4頁目にタイトルが出る。


第7話 戦闘  (第1回)
[初 出] 1970年14号(3月29日号)
[ページ] 全20頁
[前アオリ] 話題の異色ロマン、新シリーズ開始!!
○現代にたたきつける衝撃の第7話「戦闘」!! 人間の欲望の限界を、父と子の姿を通して描く感動の超大作
[楳図先生より] この第7話「戦闘」は、以前からやりたかったテーマです。ギリギリのところに追いこまれた人間のなまの欲望を、きびしく描こうと思っています。また、父と子の結びつきも、じっくりかいてみます。すこしむずかしいテーマかも知れませんが、自分がこういう立場におかれた場合も考えながら、愛読願います。
[後アオリ] 不気味な贈り物と深夜の怪電話!! そして突然の父のうめき!! 平和な家庭に不吉な影が…!?
[備 考]


第7話 戦闘  (第2回)
[初 出] 1970年15号(4月5日号)
[ページ] 全20頁
[前アオリ] 第7話も大快調!!
○父のうめきに、階段をかけあがる正!! やさしい父の身に何が…!? 連続する怪事件の真相は!?
[前号まで] 岡部正の父は、とてもやさしく、だれにでもしんせつだった。正はこんな父を、だれよりも尊敬し、作文にも書くほどだった。ある日正は、学校の帰り道、片手片足の奇妙な男に、父あての荷物を渡される。あけてみると、がいこつがでてきた。そして、その夜…!!
[担当記者より] 爆発的人気のおろち、別冊少年サンデー特集号はすごい売れゆきだ。二度、三度読んでも、グイグイひきこまれておもしろいとの投書も多い。売れ切れが近いので、もしない場合は、本屋さんに注文してください。
[備 考]


第7話 戦闘  (第3回)
[初 出] 1970年16号(4月12日号)
[ページ] 全20頁
[前アオリ] 片手片足の男の出現によって、しあわせな岡部家に黒い影が……!? 正の、突然の変化の原因は!?
[前号まで] 岡部正の父は、中学の先生で、だれからも好かれる人物だった。正は父を尊敬していた。だが、父あてのガイコツをおくられたり、妹の幸子が手榴弾で傷ついたり、岡部家に、不幸なできごとが続く。そして正は、片手片足の男と話しあったことから!?
[担当記者より] 一話一話、何を読んでも力がこもっているという手紙をよくいただくが、こんどの「戦闘」には、特にその投書が多い。今週、描かれている靖国神社に、写真をとりにいったり、楳図プロ全員、大ハッスルでとりくんでいる!! 話題の大作をみんなに知らせよう!!
[備 考] 【単行本扉】


第7話 戦闘  (第4回)
[初 出] 1970年17号(4月19日号)
[ページ] 全18頁
[前アオリ] まんが界の常識をぶち破った、衝撃のシーン登場!!
○おろちの右手によみがえる、優しい父親の過去!! ガダルカナルにひろげられる、人間の欲望は!?
[前号まで] 岡部正の父親は、だれにもやさしいので、みんなから尊敬されていた。が、正のまえに、片手片足の男が出現したことにより、岡部家の平和は乱れていく。正は、父親を疑いの目で見るようになり、いっしょの行動をさける。おろちは、父親の過去をさぐろうとし、舞台はガダルカナルへ!!
[担当記者より] 人間というものは、追いつめられたとき、どこまで残酷になれるか!! 第7話『戦闘』には、人間が直視しなければならない、重要な問題がふくまれている。きみたちも、よく話しあって、感想を、送ってください。
[後アオリ] 目前に差し出された一片の肉!! 人間が理性を失った戦場に、異様な緊張の時がせまる!!
[備 考]


第7話 戦闘  (第5回)
[初 出] 1970年18号(4月26日号)
[ページ] 全20頁
[前アオリ] 人が人をくう!! この衝撃の場面に話題騒然!!
○人間として生きるか!? けものになるか!? 岡部につきつけられた肉片は、はたして……!?
[前号まで] 岡部正の父は、やさしくだれからも尊敬されていた。だが、妙な男の出現によって、正は父の行動に疑問をもつ。おろちは、その秘密をさぐるため、正の父親の過去にはいっていく。舞台は、戦時下のガダルカナル島へ移り、悲惨な戦闘と飢えのなかで……!?
[担当記者より] 先週号の人肉をくうシーンは大反響!! さまざまな意見が寄せられた。なかには、飢えを知るために、三日間断食するなんて、ものすごいのもあった。こんなことはしてほしくないが、人間とケモノの問題について、みんな真剣に考えているのがうれしい。
[後アオリ] おろちによってあばかれた、やさしい父親の悲惨な過去!! 正はこの父親の秘密を知ったのでは…!?
[備 考]


第7話 戦闘  (第6回)
[初 出] 1970年19号(5月3日号)
[ページ] 全18頁
[前アオリ] 人間の獣性と狂気を告発する問題作
○やさしい父親の意外な素顔!! 人肉をくい、戦友を見殺しにした苦しみが、おろちに伝わるが…!?
[前号まで] 岡部正は、父親を尊敬していた。だれにもやさしい、すばらしい父親だった。だが、片手片足の男と会ったことから、正は、父親をさけるようになる。おろちは、こんな正の真意を知るため、父親の過去をさぐる。そこには目をそむけるような、すさまじい行為があった。
[担当記者より] 現在、アメリカやイギリスで、人肉をくう話が話題を呼んでいる。いままで、人肉の話は、ふれてはいけないテーマだったのが、このところ急に、演劇や小説にとりあげられている。現代性と、切実性があるからだろう。おろちも、世界的なテーマにいどんでいるのだ!!
[後アオリ] 父の問題になやむ正をおそう、第2の不幸!! 恐怖のどうくつにとじこめられた、5人の運命は!?
[備 考] 本号『バカ田大学』の記事「紀行文・関西を旅して・OB(バカボンの)パパ」の一文、「大阪名物のタコ焼きを食べたら、中からタコのバラバラ死体がでてきて、『おろち』みたいだったのだ!! これでいいのか!!」


第7話 戦闘  (第7回)
[初 出] 1970年20号(5月10日号)
[ページ] 全18頁
[前アオリ] 人間の獣性と狂気を告発する問題作
○呼べど叫べど、通らぬ声!! 外界としゃ断絶された、暗黒のどうくつで5人の行動は…!?
[前号まで] 岡部正の父は、だれにでもやさしく、尊敬されていた。だが、おろちによって、その過去が再現される。戦争中、ガダルカナル島で、すさまじい行為をしていた。飢えのどん底で、人肉をくったらしいのだ。正は、こんな父を、しだいにさけるようになる。そしてある日、校外授業で……!?
[担当記者より] やさしい父親の素顔が、だんだんあばかれるにつれて、読者の反響も多い。もし、自分の父親がそんなことをしていたら……みんなそれぞれ、真剣に考えているようだ。あまり神経質になることはないが、人間も動物の一種だということを、あらためて考えてほしい。
[後アオリ] ついにくるところまできた、父と子の深い断絶!! 人間の傷あとをえぐる空前の問題作、来週完結!!
[備 考]


第7話 戦闘  (第8回)
[初 出] 1970年21号(5月17日号)
[ページ] 全20頁
[前アオリ] 父と子の断絶を描いて、いよいよ最高潮!!
○思わずとんだ父の平手打ち!! 鬼と父を呼んだ正の複雑な胸中!! 両者の愛憎の結末は…!?
[前号まで] 岡部正の父は、だれにもやさしく、みんなから尊敬されていた。だが、正は、父の過去があばかれるにつれて、父をさけるようになった。戦争中、ガダルカナル島で人肉をくっていたのだ!! こんな父と子は、ついに衝突し、正は父を鬼とどなってしまった。そのとたん、正はなぐりとばされた!!
[楳図先生より] どうでしたか「戦闘」は? セリフが多く、むずかしい部分もあったと思いますが、最後まで読んでもらえたかな。一度は、描きたかったテーマでした。この父と子は、心からわかりあえたか、それは作者にもわかりませんが、何か気持ちが通じあったと、信じています。
[後アオリ] 話題を提供するおろち!! 来週より新シリーズ「眼」登場!!
○父と子の心からの和解を信じ、立ちつくすおろち!! 吹きすさぶ雪が、過去の傷あとを清めていく!!
[備 考]


第8話  (第1回)
[初 出] 1970年22号(5月24日号)
[ページ] 全19頁(4色1頁1色18頁)
[前アオリ] 現代的テーマに挑戦するクールサスペンス
○待望の新シリーズ、第8話「眼」登場!!
○おろちが魅せられた盲目の美少女!! その背後に、不吉な影が音もなく……!!
[楳図先生より] 今度の作品は、読者をゾクゾク、ハラハラさせることと、信じています。追う者と追われる者の心理を、きめ細かく描くつもりです。そして、主人公は眼の見えない女の子。その身の上に、どんな危機が、おとずれるのか、毎週楽しみにしてください。
[後アオリ] 逮捕された恵子の父!! 何かのまちがいでは!? 盲目の目撃者の運命は?! はやくも大波乱!!
[備 考]


第8話  (第2回)
[初 出] 1970年23号(5月31日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] はやくも大好評!! 盲目の心理を鋭く描く!!
○父親の無実を証明できぬ、盲目の悲しさ!! 異常な殺人事件の真相は、いったい……!?
[前号まで] おろちが、田口恵子に注目したのは、盲目だったからだ。父親とふたりで、社宅に住み、盲学校に通っていた。友だちは、さとるという男の子だけだった。ある夕方、恵子の家にひとりの見知らぬ男がとびこんできた。殺されると叫び、続いてとびこんできた男に刺された!!
[担当記者より] きみたちには、やみの世界というものを想像できるだろうか。眼の見えぬ少女が直面した、のがれられぬ危機。常人よりその恐怖感は、数倍だろうと思う。自分のカンだけを頼りに、どうピンチに立ち向かうか、楽しみにしてください。
[後アオリ] わずかな手がかりを頼りに、犯人を求めるふたり!! だがいまは、恵子の家の前に、不気味な人影が!!
[備 考]


第8話  (第3回)
[初 出] 1970年24号(6月7日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] みなぎる緊張!! 息づまる対決!!話題のサスペンス!!
○さとるの帰りを、必死の思いで、ひとり待つ恵子!! だが、戸口に立った人影は…!?
[前号まで] 盲目の美少女、田口恵子は、父親とふたりで、社宅に住んでいた。遊び友だちは、さとるという男の子だけ。だが、ある日、恵子の家で殺人事件があり、父親が犯人として逮捕された。盲目ゆえ、恵子の証言は信用されない。だが、犯人が身分証明書を落していった。
[担当記者より] 毎月、空をみながら、つゆはいやだなあと、ぼやいている先生。うっとおしい雨は、大きらいなのだ。それでも夏は、サンデーのために大ハッスルすると、いまから映画取材や、読書にいそがしい。一日に、三本見ることもあるヨ!! このファイト、みならおう!!
[後アオリ] ガス検針者をよそおい、仲まを連れ、のりこんできた殺人者!! このカラクリに、恵子は気がつくか!?
[備 考]


第8話  (第4回)
[初 出] 1970年25号(6月14日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 毎回、異色テーマにいどむ話題のサスペンス!! 小説をしのぐ読みごたえ!!意外な展開!!
○盲目のとぎすまされた本能からか、異常な事態に気づいた恵子!! ふたりの侵入者は!?
[前号まで] 父親を無実の殺人罪で逮捕された、盲目の少女恵子は、感じを頼りに真犯人をさがしはじめる。彼女の手足となって働くのは、さとるという、近所の男の子だった。だが、さとるは、逆に真犯人につかまり、恵子が事件の真相をにぎっていることをバラしてしまう。そしていま……!?
[担当記者より] すこしでも暗やみの感覚になれようと、楳図プロでは、ときどき自発的に停電にする。先生以下、アシスタントのみんなも、まっくらのなかで、どのくらい行動ができるか、ためしている。ときどき、ゴチンと柱にぶつかる音がするぞ。まねしちゃだめだよ!!
[後アオリ] 証拠品が燃えたとも知らず、犯人は、再度侵入するのか!? 必死に防備する恵子に、危機せまる!!
[備 考]


第8話  (第5回)
[初 出] 1970年26号(6月21日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 闇の世界の恐怖をえがいて快調!!
○見えぬ眼で、クギをうちつける、恵子の手に鮮血が!! 降りしきる雨のなか、殺人者はせまる!!
[前号まで] 盲目の美少女の家で殺人事件があり、現場にいあわせた父は、犯人として逮捕される。無実の父を救うため、恵子は真犯人を、さがしはじめる。頼りは、犯人の落した身分証明書だったが、それも焼け、こんどは逆に、犯人から恵子がつけねらわれ、へやのカギがぜんぶこわされた!!
[担当記者より] 先日、楳図プロに、ひとりの眼の不自由な少女から、おかしの差し入れがあった。弟さんから、おろち第8話「眼」の話をきいたそうで、毎週読んでもらいながら、絵を想像するのが楽しみとのこと。先生感激して、しばし沈黙だった。
[後アオリ] 盲目に有利な闇の世界!! だが、証拠のテープが不覚の光を!!来週は意外な解決編!!
[備 考]


第8話  (第6回)
[初 出] 1970年27号(6月28日号)
[ページ] 全20頁
[前アオリ] 盲目の恐怖を描く、話題のサスペンス!!
○せっかくの証拠のテープが、逆転の光を!! 二転、三転する緊迫のドラマ、いよいよ最高潮!!
[前号まで] 盲目の少女恵子の父親は、殺人犯として逮捕される。父親の無実を信じる恵子は、近所の子ども、さとるを手足とし、真犯人を捜索する。だが、犯人側も証拠の品をとりもどすため、恵子の家にのりこむ。恵子は電灯をたたきこわし、やみの世界で戦おうとするが……
[楳図先生より] どうでしたか、『眼』の読みごたえは? ぼくは、恵子のように、自分のハンデにもめげず、けんめいに生きる人間は大好きです。毎日、がんばらなくてはと、逆に勇気づけられます。来週からは、新シリーズ『血』が始まります。梅雨を忘れさせるような、スゴイ作品です。
[後アオリ] 次週より第9話『血』開始!! 大構想の野心作だ!!
○盲目の少女の勇気で事件は解決!! だが、人間社会の複雑さに、おろちは暗然とするのだった!!
[備 考] 【単行本扉】


第9話  (第1回)
[初 出] 1970年28号(7月5日号)
[ページ] 全24頁(4色8頁1色16頁)
[前アオリ] 鬼才が心血をこめて描く、美しい姉妹の愛憎と恐怖!!
[備 考] 本号掲載分、すべて裁ちきり!! ゆえに、柱記事はほとんど無し。【単行本扉】


第9話  (第2回)
[初 出] 1970年29号(7月12日号)
[ページ] 全18頁
[前アオリ] 人間の愛憎を、余すところなく、描破する問題作
○大富豪の令嬢、一草と理沙!! この美しい姉妹の身にふりかかる、数奇なドラマは……!?
[前号まで] 大富豪、門前家には、美しい姉妹がいた。姉は一草、妹は理沙といい、何ひとつ不自由なく、優雅に育てられていた。しかし、妹の理沙は、動作の一挙一動まで、姉に比較され、しだいにいじけていった。理沙は、いつも世話になる姉に、役立つことをしようとするが、いつも失敗する。そしていまも……!?
[担当記者より] 先週の全ページワイドな画面でもわかるように、この作品にうちこむ、先生の意欲はすごい。この第9話で、愛憎と恐怖を、徹底的に追求するといっている。また、おろち自身にも、あっと驚くような事件が起こるので、おおいに期待してほしい!!
[後アオリ] 事故がおろちにもたらした、突然の睡魔!! 神秘な少女の異常事態の真相は!? また姉妹の運命は!?
[備 考]


第9話  (第3回)
[初 出] 1970年30号(7月19日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 新展開に話題騒然!!
○必死に睡魔と戦うおろち!! 門前家の行く末を見とどけるまではと、走り続けるのだが……
[前号まで] 大富豪、門前家には、一草と理沙という、美しい姉妹がいた。理沙は、姉の一草とことごとく比較され、しだいにゆがんでいく。やがてふたりは結婚するが、一草は夫と死別し、理沙はケンカ別れで離婚する。こんな姉妹を、おろちは興味を持って追い続けるが…!?
[担当記者より] 神秘な美少女おろちについて、読者から問い合わせをいく度もいただいたが、その疑問のひとつに、今週で答えています。つまり、不老不死の生命力の秘密は、百年に一度の長い睡眠があったのだ!! これからも、ベールがしだいにはがされるから、注目しよう!!
[後アオリ] 次週は、門前家を舞台に、憎悪のドラマは最高潮!!
○睡眠から、佳子(よしこ)への転身!! 目変転するおろちに、いま過去が、音をたててよみがえる。
[備 考]


第9話  (第4回)
[初 出] 1970年31号(7月26日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 独自の作風に愛読者急増の異色ロマン!!
○流しの少女、佳子がもらわれる先は門前家…!? このひとことが、おろちの記憶を刺激した!!
[前号まで] 大富豪の令嬢、一草と理沙は美しい姉妹だった。だが、理沙は姉に劣等感を感じ、ゆがんだ性格になる。おろちは、この姉妹を追いつづけるが、突然睡魔におそわれる。これは、百年めに一度の睡眠だった。ガケから、落ち目ざめてみると、佳子という女の子に変身して…
[楳図先生より] この話では、主人公おろちの神秘的な性格を描いています。百年めの睡眠ショックから、佳子へ転身したおろち。これからは、おろちの部分と二重の意味を持って進行するので、考えながら読んでください。
[後アオリ] 目前の老女が一草!? この信じられぬ年月にぼう然とするおろち!! 佳子、おろちと錯綜するドラマは大波乱へ!!
[備 考]


第9話  (第5回)
[初 出] 1970年32号(8月2日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 人間の宿命と愛憎を描いて、ますます好調!!
○夢のごとく過ぎ去った、十数年の歳月!! 変わり果てた門前家に、恐怖のドラマは最高潮へ!!
[前号まで] 大富豪、門前家には、一草と理沙という、美しい姉妹がいた。理沙は、姉の一草にことごとく比較され、しだいにゆがむ。おろちは、この姉妹を追跡するが、途中、百年に一度の睡眠に落ちる。めざめると、流しの少女、佳子に変身していた。ある日、中年の裕福な婦人がきて、佳子をひきとるが……。
[担当記者より] おろちの睡眠は、読者にとってショックらしく、反響も大きかった。またおろちが佳子に転身して、どういう運命をたどるのか、興味がつきないとのおたよりもいただいた。中年になった、一草と理沙の間で、おろちはどう動くのか、楽しみに待ってほしい。
[後アオリ] 鬼女のように、打ちすえる理沙!! 急変した、その態度の裏は!? また、佳子に同化したおろちは!?
[備 考]


第9話  (第6回)
[初 出] 1970年33号(8月9日号)
[ページ] 全16頁
[前アオリ] 永遠の時を生きる、おろちを襲う、重大な試練!!
○悪鬼の形相の理沙に、逃げまどう佳子!! 富豪、門前家の異様な姉妹に隠されたものは……!!
[前号まで] おろちは、門前家の美姉妹、一草と理沙に興味を持った。だが、百年に一度の睡眠により、流しの佳子という少女に変身していた。そして、偶然にも門前家にもらわれていく。驚いたことに、一草と理沙は中年になり、一草は重い病気にかかってた。佳子は、みんなからだいじにされいるが…(ママ)
[担当記者より] おろちが変身した佳子の顔が、いま人気絶頂の藤圭子に似ていると、もっぱらの評判。かいているうちに、髪型が同じなので、なんとなく似てしまったらしい。ところが『平凡』の9月号で、藤圭子が、今度はおろちのかっこうで登場する。右手の包帯もちゃんとまいて、おろちそっくりだよ!!
[後アオリ] 病床の一草にさした一筋の光明、心臓移植!! そして、奇怪な行動をとる理沙の正体は!?
[備 考]


第9話  (第7回)
[初 出] 1970年34号(8月16日号)
[ページ] 全18頁
[前アオリ] 凍結の恐怖!! 奇抜な着想!! 緻密な構成!!
○わずかな生のともしびに、あやしく光る一草の目!! 門前家の姉妹に、またナゾが…!?
[前号まで] 流しの少女、佳子に変身したおろちは、門前家にもらわれた。そこには、十数年まえにおろちが興味を持った家で、一草と理沙がいた。一草は心臓病で寝込んでいたので、佳子は母につかえるように看病する。だが理沙は、佳子を手ひどくいじめぬく。そしてある日……
[担当記者より] 公害をのがれて、高い所でアイデアをと、楳図先生がマンションの8階に引っ越した。でもあまりの高さに、なんとなく立ちすくみ、急に窓からとびるような気持ちにならなければいいんだがなあ、だって。なんだか、ぶきみな感じだが、すばらしいアイデアを期待しよう。
[後アオリ] 容体が急変した一草!! さらに佳子を襲った不幸な事故!! 次号は衝撃と戦慄の完結編!!
[備 考]


第9話  (第8回)
[初 出] 1970年35号(8月23日号)
[ページ] 全20頁
[前アオリ] 肉親をも引きさく、積年の憎悪!! 恐怖のドラマ最高潮!!
○おろちの転生した佳子が死ぬ!?富豪、門前家の姉妹に破局の時がせまる!!
[前号まで] 大富豪門前家の姉妹、一草と理沙を追い求めるおろちは、流しの少女佳子に変身して、ふたりの身辺を世話する。一草は不治の心臓病なので、佳子は母につかえるように看護する。だが、理沙は、くるったように佳子をいじめぬく。そしてある日、一草の容体が急変し、……
[楳図先生より] いよいよ最終回、やはりさびしい感じもします。おろちという、この神秘的な少女に、とても愛着があるせいでしょう。第9話の『血』が、第1話『姉妹』と、ややテーマが似ているのもふしぎな気持ちです。何か呼応しているようです。たくさんのお手紙を感謝します。
[担当記者より] 異色ロマンという、新語まで生んだ名作『おろち』も、今週でおしまれつつ完結する。長い間の声援と激励、ほんとうにありがとうございました。この暑さにも負けず、先生はもう、次回作の構想をねっています。さらに発展したテーマの意欲作を、もうじきお届けします!!
[後アオリ] 人間の奥底に潜む、どす黒い欲望と憎悪!! おろちは、それを振り払うように風の中を去っていった!!
[備 考] (本号には、柱に「おろち作品メモ」として各話の紹介文がある。以下、記す)
○第一話『姉妹』18歳になると、顔がくずれていくという家系の姉妹――この姉妹の憎しみとエゴを鋭く追求した作品。少年誌に待望の登場とあって、連載第一回から大反響をよんだ。1969年、25号より29号まで5回。
○第二話『骨』死んだ男を、超能力によっておろちは生きかえらす。だが、その男はなぜか、愛する妻をねらい、最後には発狂させる。みじめな生活から脱出したいための殺人を、意外な展開で描いた。30号より38号まで9回。
○第3話『秀才』強盗に自分の子を殺害された母親が、その強盗の子をひきとり、ガリ勉を強要する。だが少年も、この特訓に耐え、自分の出生の秘密まで知るが、がんばりつづける。結末は、親子の和解に終り、読者を安心させた。39号より45号までの7回。
○第四話『ふるさと』SFタッチで、ふるさとへのあこがれを描いた。ある村の子どもたちが、怪能力を発揮し、おろちと対決するようになる。おろちは、主人公の青年のために全力をふりしぼり、大ケガの青年を助ける。怪奇な村は青年の幻想だったのか? 46号より52号まで7回。
○第五話『カギ』団地の鍵っ子が見た殺人事件。その犯人に追われる、うそつきの活躍を描いて大好評。このころより、評論家副田義也氏等が、おろち絶賛の記事を新聞雑誌に発表。また週刊朝日で、楳図先生の大特集がのる。1号より7号まで6回。
○第6話『ステージ』父親を人気スターにひき逃げされた少年が、その現場を目撃し、復しゅうする話。その手段として、歌手を夢みるつき人として、そのスターに近づき、いろいろな工作のすえ、スターの座からひきずり落とし、去っていく。9号より13号まで6回。
○第7話『戦闘』戦争中、人肉をくった父を持つ少年が、苦しみながら父と和解する過程を、大胆な構成で描いた。人肉をくうシーンがみごとに表現され、人間の理性の限界も、鋭く追求された力作。14号より21号まで8回。
○第8話『眼』盲目の少女が犯罪にまきこまれ、近所の少年と犯人を追いつめていくサスペンス。盲目というハンディをどう克服するのか、毎週この少女に読者の声援がとんだ。闇と光の逆転が、ドラマを盛りあげた。22号より27号まで6回。



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